これしか治療法がありません|一生を左右する副作用を前に妻が下した決断

インフルエンザ脳症体験談~入院時~

ある日の朝。私は意識障害を起こして異常な行動をとりました。それを妻に発見されてすぐに救急車で大学病院に搬送されます。搬送直後から膨大な検査を受けました。

そして次の日、妻に検査結果が伝えられました。そこで家族の未来を大きく左右する決断を迫られるのです。一刻の猶予もありません。

インフルエンザ脳症告知

インフルエンザ脳症告知(妻が書いた記録)

インフルエンザ脳症以外にも…3つの病気の疑い

妻は医師にこう伝えられたそうです。

「インフルエンザ脳症の疑いがあります。しかし他に2つの病気の可能性もあります。」

結果的にはインフルエンザ脳症だったのですが、この病院では他に二つの病気の可能性も考えていたのでした。凄すぎです大学病院。

可能性として挙げられた病気はヘルペス脳炎。もう一つは自己免疫性脳炎でした。

それぞれの病気の特徴はこんな感じ。
・インフルエンザ脳症・・・インフルエンザウイルスへの過剰な免疫反応で自分を傷つけてしまう。
・ヘルペス脳炎・・・ヘルペスウイルスが脳に侵入して悪さをする。
・自己免疫性脳炎・・・自分の免疫が自分の細胞を敵だと思い込んで攻撃してしまう。体にできものができると起きるときがある。

検査の結果でヘルペス脳炎ではないとすぐに確定したそうです。体内にウィルスがいなかったのでしょう。

でもインフルエンザ脳症と自己免疫性脳炎の違いはこの時点では断定できないようでした。

いずれにしろ当面の治療法は同じだということで、治療を受けることとなりますが、これが一か八かという代物だったのです。

この治療を受けると歩けなくなるかもしれません

一か八かの治療とは「ステロイドパルス」というものです。様子を見ながらステロイド剤を直接点滴して、暴走している私の抵抗力を抑え込もうという治療法です。

ステロイドというと副作用が強い皮膚の薬。こんなイメージがありますよね。それと同じものかどうかはわかりませんが、妻が医師から説明を受けた副作用は「今後歩けなくなるかもしれない」というものでした。

ステロイド治療
東京女子医科大学病院 腎臓内科では「患者さんを中心に考える」を診療のポリシーとしています。腎臓病は短期決戦ではなく、長期に病気と戦う患者さんと寄り添っていくことになります。病気だけをみて診療することなく、患者さんの気持ちや社会生活などを尊重して治療することをモットーとしています。

そんなステロイドを、大量に点滴をしたことを覚えています。今まで盲腸で入院したり、鼻のできものができて入院したり、熱中症で倒れたり、気管支炎で入院したりと、子供のころから何度も入院をした経験がありますが、毎日寝ても起きてもずっと点滴をしたのは今回が初めてです。

後日腕を見ると内出血で真っ黒。左腕の肘内側には針を打つ場所が無くなり手の甲からも点滴をするような状況でした。

人生の瀬戸際なのに…本人は呑気

この絵はちょうど妻が医師から「一生寝たきりになるかもしれません」「今すぐできる治療法はこれしかありません」「歩けなくなるかもしれません」と、告げられて震えあがっているときに私が書いたものです。

一生寝たきりになる直前なのに呑気

一生寝たきりになる直前なのに呑気

これを書いているとき、私は正常な判断が下せなくなっています。自分の置かれた状況に恐怖心も抱いていません。どちらかというと「今の状況を記録して世の中に発信しなければ!」と使命感に燃えています。ありえないほど前向き。

お昼に出てきたハンバーグが美味しくない。米の飯の炊き具合が悪いと憤慨しています。我ながら酷いなぁと思います。病識がまったくありません。

これが脳に傷が入って腫れ上がり、正常な判断が全くできなくなった私の姿でした。本当に恐ろしいです。

今後一生まとも歩けなくなる治療。妻の判断

妻「それしか治療法がないのですか!?」
医師「ありません」
妻「なら、歩けなくなってもいいです。すぐに治療を始めてください。」

妻は医師とこのようなやり取りをしたそうです。

どれだけの思いで答えたのか。私が歩けなくなったら全部背負い込むつもりだったのだと思います。

妻はステロイドパルスの恐ろしさを知っていました。妻の会社の同僚がステロイドパルスの治療を受けて骨に異常をきたし、常に足を引きずって歩くようになった経緯をリアルで見ています。

今回の治療では幸いにも副作用は出ませんでした。ありがたいです。でも、もし歩けなくなっていたら?そうだとしてもこれがこの時の最善の選択です。インフルエンザ脳症になった自分が悪いのです。

妻はとても強い女性だと思っています。ありがとう。

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