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「いつも自分ばかり酷い目に合う」…遂行機能障害を乗り越えた瞬間

高次脳機能障害体験談~退院後~

最近は気持ちが落ち着いたため無いのですが、高次脳機能障害になりたてだった1年半前は、毎日強い不満を抱いていました。

きっかけは仕事の再開です。

インフルエンザ脳症になったのは去年の1月中頃です。退院したのはそれから1か月後。仕事を再開したのは退院後2週間がたってからでした。

記憶障害、注意障害、遂行機能障害と、3つの高次脳機能障害を持っていた私が、病前と同じ内容の仕事を再開する。当然うまくいくわけがありません。

どんどん泥沼にはまっていきます。

でも「乗り越えなければ自分の存在価値がなくなる!」「今まで努力で乗り越えてきた!」そう信じて、障害の壁と闘いつづけました。

その結果…

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「出来ないから障害」を体験して到達した考え

病後、着手した仕事は自分がしていた仕事の続きでした。どこまで作業を進めていたのかはすっかり忘れています。だから思い出すことから始めました。

でも、これがまずかった。まだ3か月は早かったかもしれません。

早すぎた仕事の再開のせいで、ある考えが私を支配するようになります。それは…

「いつも自分ばかりが大変な目に合う!!!」でした。

どれほど時間をかけても仕事が思うように進まなかったからです。

障害を持つ前に1年もの時間をかけて、メールでやり取りしてきた仕事がありました。それを入院で中断していたので再開しようとしたのですが…出来ませんでした。

作業を思い出そうとして何度もメールを読み返します。でもすぐに忘れてしまいます。記憶障害の影響です。

ならばと経緯をノートにまとめてみました。でも、振り返りの作業を進めていくうちに、まとめている仕事の内容が理解できなくなるのです。

メールでの複雑な情報交換。なかなか一本調子には進みません。お互いに質問に質問を返すようなこともあります。

健常者時代の私なら、そのような相手でもうまく誘導してあげられました。むしろそれができるのが私のウリでした。でも障碍者になったとたん出来なくなりました。

私が考える上での「仕事をするに必要な情報」これが一つでも欠けていると、混乱しまくりになるのです。

そしてある感情が湧いてくるのです。

それは「怒り」でした。

怒り爆発!!なんで自分ばかりが大変な目に合うんだ!!!!

私は高次脳機能障害になりました。それでも「自分は仕事ができるんだ!」ということを証明しなければなりませんでした。証明できないと仕事を失います。生活が出来なくなります。

そんな中での複雑な仕事の情報交換です。

「以前の自分ならきちんとできていたんだ!絶対できるんだ!やらなくちゃダメなんだ!」

どんどん。どんどん。ドツボにはまっていきます。

疲労が蓄積してしまい抑制が利かなくなりました。休憩を一切取らずに深夜になってもずっとメールを読み返していました。

1年間分のメールです。でも記憶障害のために途中でわけが分からなくなります。仕事の依頼がなされたきっかけや、機能の要望が出る経緯が突然頭の中か消えてしまうのです。

「あれ?なんでこの機能が必要なんだろう?」

普通の記憶力がある人なら絶対に抱かない疑問です。だって経緯を覚えていられるから。

でも私の場合は必要な情報が記憶から突然消えてしまう。だから機能が必要になる理由が分からない。納得がいかない。納得がいかないものを作るわけにはいかない。じゃぁどうする?もう一度最初から以来のメールを読み返そう…となるのでした。

表現のあいまいさがさらに追い詰める

私を苦しめたのは、記憶障害の影響で経緯を忘れてしまうことだけではありませんでした。

機能を説明する際に用いられる言葉が微妙に異なるのです。

例えば「りんご」「果物」「青果」。同じような意味を持つグループ。日常会話では問題にはならないでしょう。でもシステムを作るには致命的です。

私が担当していたお客さんはその場その場の雰囲気で言葉を入れ替えてきました。

以前の私なら「使われている言葉を統一してください。あいまいに表現をされてはシステムは作れませんよ。」と注意を促せました。

でも障害を負った私にはそれが出来なくなっていました。自分への自信を完全に失っていたからです。

だから自分一人で問題を解決しようとしました。

「どれがりんごなのだろう?どれが果物なのだろう?」「きっとここは青果の意味なんだろうな…」「ここはりんごだ」「じゃぁここはなんだ?わからないなぁ…」

もうね。こんなことで悩むなんてばかばかしいですよ。

お客さんに「やりなおしてください」と突っ返せばいいのです。でもそれが出来ない。自信が無いから導けない。

こんなしょうもない事で私は何時間。いや、何日も悩みました。時間の無駄です。本当にばかばかしいです。朝から深夜までずっとずっとずっと…くだらない事で悩んでいました。

「こんな説明すらも理解できないようでは、自分はダメになったと思われる。」

このような考え方が根底にあったからです。絶対に自分一人で解決しなければならない問題だと思い込んでいました。

ついに感情が爆発

ある日ついに気持ちが切れました。怒り爆発です。

「なぜ自分ばかりがこんなに大変な目に合わなければならないんだ!」
「きちんと名称を分けろよ!」
「曖昧なんだよ表現が!」
「仕事をうまく進めないと、ダメになったって評価されてしまうんだよ!」
「客の指示があいまいなのが悪いのに、自分が悪者にされてしまうだよ!」
「頭にくる!許せない!!!」
「なんで俺の足を引っ張る事しかしないんだ!」

完全にブチ切れ。怒りでバンバン机をたたいて大騒ぎ。

やることをやればいいのに。正確な内容を確認すればいいのに。それでさくっと終わりなんですよ。でも…それが出来ないのです。

やっぱり私は障碍者なんですね。

「聞いてはならない」「聞いたらもう終わり」

なぜが、そういう考え方が思考をがっちりと捉えていたんですよね。

今振り返ると、自分で自分のことなのに訳が分かりません。この訳が分からないという部分が「障害」の部分なのだと思います。自分自身ではどうすることもできないのです。

遂行機能障害ってやつに該当するんですかねぇ?

それでも…障害を乗り越えた瞬間

無駄に時間を使って、怒り狂った私。ついにある答えにたどり着くことが出来ました。

それは…

「相手に聞いてみる。」

でした。それですぐに問題は解決しました。あっという間でした。

数日間(数週間?)にわたって私を苦しめた疑問が、たった一回のやりとりで解決しました。

なんなんでしょうね。私。本当に…。

きっとこれが障害の克服の一つなのだと思います。乗り越えるまで相当の時間を要しました。

この瞬間、世界が変わった気がしました。

「わからなくなったら人に聞く」

これって極々当たり前の手順だと思います。でも障碍者になったらできなくなりました。どうしてもできないんですよ。

理由は「理不尽なほどに、どうでもよい事にこだわる」これなのかもしれません。

周囲から見たら。今の自分から見ても。本当にばかばかしいです。「なぜ?」って思います。でもその「なぜ?」が大きい壁なんです。

健常者から見て「なぜそんなことにこだわるの?」に命がけでこだわり先に進めなくなる。それが遂行機能障害の一つなのだと思います。

「わからなくなったら人に聞く」

大切なことなのでもう一度書きました。

たった今、高次脳機能障害でしんどい思いをしている方。

「これが出来ないと、ダメになったら烙印を押される」

とがけっぷちにいる方。

とても勇気が必要だと思いますが、ぜひチャレンジしてみてください

「わからなかったら人に聞く」

人を活用してみてください。大丈夫。ダメになったという烙印は押されません。

逆に「一つ障害を乗り越えた」と、周りは喜ぶと思いますよ。

だって、人に相談するって、かなり高度な遂行機能のスキルですから。

  • 「相談できない=遂行機能障害」
  • 「相談できる=障害を乗り越えた」

だと思いますよ!

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