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高次脳機能障害を自覚することの大切さを考えてみた

「高次脳機能障害のリハビリのゴールは自覚」と聞きました。

最初聞いたときは何のことやらさっぱり分かりませんでしたが、今は「なるほどなぁ」って思います。

高次脳機能障害って自覚しづらいんですよね。自分の匂いは自分ではわかりにくいのと同じ感覚ですね。

私自身も「退院したら今までと同じようにスグに仕事ができる!」と考えていましたし。障害の自覚がゼロなので今まで通り。何も変わらない毎日おくるものだと信じていました。

実際はそうではないのでものすごく大きな壁にぶち当たって七転八倒します。

その結果、心に物凄く大きな傷を負うんですよね。自信を無くしますよ。生きている価値がなくなったって全身から力が抜けていくんですよ。これはもう辛いです。

「さぁこれからやるぞ!」と希望に燃え始めた途端に、崖から突き落とされるようなものです。高次脳機能障害をきっかけに二次障害を起こす。そのようなパターンに陥るのだと思います。

こうならないためにはどうすればいいのか?やっぱり「障害の自覚」が鍵だと思います。

とにかく高次脳機能障害になって日が浅いと「俺は障害について理解している!」と考えていても、実際はゼロに近いとおもいます。自覚のレベルって。

思うんですよ。そもそも「自分が障碍者になったんだ」ってそう簡単に受け入れられますか?

頭では理解しても、心から認めるわけにはいかないんですよ。だってせっかく健康に生まれて、健康に育ってきて、不自由なく生きてきて…。

「でもあなたは今日から障碍者だからね」

そう宣告されてなったくする人なんてこの世にいないでしょう?

それまでの障害者のイメージって、とにかく不便のある人。自分の事を満足にできない人。自由を奪われたい人。このような認識だったんですよ。そんな障碍者に自分がなるなんて絶対にあってはならない事だったんですよね。

風邪のように一時的に不自由さがあっても、やがて綺麗に完治しなければならないんですよ。一生機能を失ったままでいるわけにはいかないんですよ。

…まか、そんな意識が私にはあったわけです。

別に、差別意識があるわけではないですよ?純粋に不自由な状態になりたくないってだけです。人間なら当たり前の感覚ではないでしょうか?

中途障害って突然自分の性能が落ちるってことなのだと思います。こんなの許容できるわけがない!

でもね。この状態を認めないと先に進めなかったんですよね。

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高次脳機能障害を乗り越えるには冷静に今の自分を認めるしかない

なぜ性能の落ちた自分を認めなければならないのでしょうか?

それは、現状を見つめ直して認めないと、本来のあるべき自分の姿との差が見えてこないからなんですよ。

どういうことかわかりますか?

例えば「夕方になると忘れやすくなる」という障害の事実があるとします。そして認識しているとしましょう。

本来あるべき姿は「夕方になっても忘れない」です。つまり「忘れない」理想の状態と、「忘れる」現実の姿があります。相違があるわけです。

ここまで明確に相違が見えているのなら、次にすべきことは何でしょうか?

「忘れてはならない夕方の行動は記録する」ではないでしょうか?するとどうでしょう。

夕方になるとナチュラルに忘れるとしても、記録は残っているんですよ。だから後で記憶を参照したくなったとき。例えば「1日の締めの処理はどうなりましたか?」などですけれど、記録するルールを実践すれば即答できるわけです。

夕方の情報を得る手段は異なりますが得られる結果は同じですよね。どちらも正解。だからこの後の流れもスムーズに進みます。滞りがありません。つまり障害はなかったということになりますね。

  • 今ある自分の姿と、あるべき姿から差を見つけ出す。
  • その差が障害。
  • 障害を埋める手段を見つけ出して実践する。

この3つがスムーズに流れさえすればもう高次脳機能障害ではないのだと思います。生活面では。

どうすれば高次脳機能障害者に自覚を促しやすいか?

当事者として経験したことから書きますと…

「いかに当事者に第三者目線を持たせられるか」がポイントかな?と考えます。

第三者目線って何かな?なんですけれど、「感情に左右されずに、冷静に現状を把握する能力」ですね。

感情の有無は重要です。評価がぶれますからね。人によっては優しすぎて高得点。人によっては厳しすぎて評価が低い…。これでは正確に現状の把握なんてできませんね。でも感情の有無なんて他人にはわかりません。

では、どうすれば正確に現状把握ができるかなんですけれど

  • 数値化
  • 第三者視点
  • 実践

この三つの要素を満たせればよいと思います。

数値化とは変化ですね。「障害の現状の見える化」ともいえるかな?

とにかく測定です。机上の問題を解く。その際に要した時間。正解率。これはらすべて数字で表せます。数字で表せられるということはグラフ化できます。

グラフ化できるということは、障害の変化が目で見てわかるということですよ。

最初の頃の測定は滅茶苦茶でした。でも時間の経過とともに素早くなっていたんですよね。

ある課題を例にすると、最初の頃は20~30分は必要でした。でも1年以上過ぎると4分程度で課題を完了していたはずです。相当処理速度が速くなりました。

このような状況をグラフ化すればいいのです。その際に

「普通の人のグラフはこうだよ?」

と、当事者のグラフと健康で一般的な人のグラフを比較した資料を見せれば一発でしょう。

「自分はもう良くなっていると思ったけれど、実際はこの程度なのだ。」と自覚する手助けになるはずです。

正常な人と自分の情報が記載されたグラフは、急性期に入院していた大学病院で見せられました。入院当初から毎日心理検査を行い脳の状況を点数化していたんですよね。かなりしんどかったですが…。

見せられた結果はかなりがっかりするものでしたよ。

「退院したら今まで通りに仕事をするんだ!」という気持ちが一発で吹き飛ぶような(実際は吹き飛ばないのですけれど)そんなレベルの結果です。

なにせ点数化不可能なレベルの最悪な状態だったのを示すグラフでしたから。それでも退院が近くなると少しだけ線が引かれていましたが…。健常者ゾーンよりはるかに低い位置に。

正直に言うと、脳機能の点数化は「自分が障碍者になったのだ」という実感へのヒントにはなるけれど、決定ではないですね。

第三者視点を持てるのは強力な武器

実際自分が大学病院で点数を見せられても「ふうん。あと1点足りないだじゃない。これなら健常者と変わらないよね。」という感想しか持てませんでした。

妻からは「1点じゃないよ!要見守りなんだよ!」と、何度も何度もくぎを刺されましたが「ふうん?でも大丈夫でしょ?」でしたね。まったく自覚していないんですよね。この時点では。こんな状態では一生高次脳機能障害の克服は無理です。

でもそんな私に転機が訪れたんですよね。これを経験したから自分の障害への理解が一気に加速したのだと思います。それは、千葉リハのグループリハビリです。

見えない障害を見える障害に変化させた千葉リハのグループリハビリ

グループリハビリとは、自分と同じ高次脳機能障害を持つ方があつまって課題をこなしていくというものです。

私的に課題はおまけです。なくても良い。でも無いととっかかりがないですしね。それに千葉リハとしては課題への接し方が当事者の状況を把握するうえでの大事な情報源になるのだと思います。

当事者にとっては「自分以外の高次脳機能障害者の様子を見られる」というのが本当に大きい!宝のような経験です。

高次脳機能障害は見えない障害なんですけれど、グループリハビリ中は見える障害になるんですよ。

どういうことなのかというと、参加者に課題を与えるんです。その課題を解いて全員で発表する。ただそれだけなんですけれど、高次脳機能の「遂行、注意、記憶」などが直接試される仕組みになっているんです。「よくできているなぁ!」って驚かされます!

自分自身の障害は見えないんですよ。でも他人の障害はよく見えるんです。つまり「察して知るべし」が出来る環境なんです。「他人のふり見て我が振り直せって」やつですね。

「自分では気づけないけれど、他の人から見たら自分も同じような違和感を発しているのだ。」そう気がつきましたよ。

課題を解いてそれぞれが発表しますよね。すると「なんでそうなるの?」という発表をする人がいるんですよ。あまりにも理不尽な答えだったりするんですよ。「そんなに簡単なことを間違えるか?ありえないだろう?」ですよ。

…私の事なんですけれどね(涙)

もちろん他の参加者も「なぜそこでミスをする?」という間違いがあるのですが、それが障害なんですよね。もうね「障害の見える化祭り」ですよ!

千葉リハのグループリハビリに参加すると、自分の障害がどのようなものなのかを理解できますよ!

高次脳機能障害を自覚して得られたものは何か?

私はこうして自分の障害を理解してきました。高次脳機能障害はどんどん変化していきますね。良い方向に。でもまだまだ治りかけの状態。これからも長い年月をかけて治っていくそうです。

千葉リハで面接を受けるとそういわれるんですよね。でもいつも「もう十分治っただろう?」って思っているからショックを受けるんですけどね。きっと次回受診した時もショックを受けると思います。

「まだ障害が残っているのか!」って…。結構辛いんですよね。まだ障害があるよっていわれるの。

でもそれなりに自覚はしています。だから対処はできています。障害があるけれど障害が無いような日常生活が送れるレベルには戻ってきているんですよね。

「戻ってきている」って言えるのってかなり大きいと思います。私一時期自信を全く喪失してしまって、二次障害を起こしていると言われてしまいましたから。そうなると脳神経内科だけではなくて精神科の受診も必要になるようです。薬が出ます。(ちなみに私は今まで高次脳関連の薬は飲んだことがありません)

薬を飲むとパフォーマンスがガタ落ちするんじゃないかな?それにお金もかかるし時間も必要。ますます状況は悪くなると思います。だから精神科には絶対行きません!

それどころか私的に「もう千葉リハに行く必要もないのではなかろうか?」と考えています。定期的に通うのが結構な負担になっています。

周りに迷惑をかけるため、かなりつらい立場になってしまうんですよね。これではかえって逆効果なきもします。

…話がそれてしまいましたが、自分の障害を自覚するのはとても大事。そして「自覚=リハビリ終了」と言われてきたのも良くわかります。

【障害を認める。現状とあるべき姿を比較する。そして差を埋める行動をとる。】

この3つがうまく回れば、「もう障害はないよ」って言っても良いのではないかな?

なんて思えるようになってきました。まずは自覚ですね!現状把握です。

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