今、だいぶ難しいお仕事に取り組んでいます。
メンバーの中の誰にもできないお仕事。私にしかできないお仕事です。
それって…。
そうなんです。
私が高次脳機能障害になる以前の、健常者時代に行っていたレベルの仕事を、高次脳機能障害になってから2年目を迎えようという今になって行えるようになっているのです。
忘れていません。障害を負ってから3か月後。夕方のイオンへのお散歩で毎日泣いていた事を。
「あの頃はよかった。」
「あの頃の自分は何でもできた。」
「あの頃の自分にはもう戻れない。」
主治医も言っていました。
「高次脳になったらもう元の自分には戻れないよ」って。
あの時は本当に後悔しまくりでした。インフルエンザ脳症に罹ったことに。あの日、客先に出向くために電車に乗った事に…。
もうね。本当に毎日泣いて暮らしていましたから。悔しくて、残念で、感情失禁で。
「楽しい場所は自分にはふさわしくない」
ってお花見会場から逃げ帰ってきていましたから。
インフルエンザ脳症になり、高次脳機能障害になり、記憶障害、注意障害、遂行機能障害と診断され、もうすぐ2年目を迎えます。
今も精神障碍者手帳を持っています。
その私が今、他の誰にもできない仕事をしています。
誰もしらない。自分で調べる。実現できるかどうかもわからない。それなのに納期がある。かなり厳しい納期です。
でも大丈夫。
「これこれこういうわけで、実現に時間がかかります。」
と、冷静に理論立てて説明して相手を説得できる自分が今ここにいます。
「なんでだよ!なんで自分ばかりがこんなつらい目に合わなくちゃならないんだよ!」
と、感情の抑制が効かず大声で怒鳴り散らし、
「もう仕事をするのはやめて!」
と妻に止められても止めず。
深夜になっても寝ない覚悟で…いや、もう一度倒れるのもいとわずに、
「この仕事ができない自分に価値はない!」
なんて叫ぶこともなく。
淡々と目の前の仕事に取り組めるようになりました。
それどころか
「私にできないようだと、他の人にも無理だよなぁ。」
なんて考え方もできるようになってきました。これが本来の私の姿なんです。すっごい嫌な感じですが(笑)
「できないよ、できないよ、どうしよう。」
とオロオロする私は本当の私ではありません。
「私ができないと判断した仕事は、他の人にも無理だよ!」
そう自信をもって主張できるのが本来の私なのです。(もちろん実際はこんなに直球に表現しません。私の根本的な考え方です。)
こういう考え方だから、千葉リハの先生に「慢心している!」って診断されてしまうんですけどね…。
でも、慢心こそが私を支える源なので、一生変えることはできないと思います。変えるつもりもありません。
高次脳機能障害になって、一見おとなしくなったように見えても、人の本質って変わらないんだなぁって思っています。
昔知り合いから「あなたは凄い意地っ張りで頑固ですね」って指摘されたことがあります。
そう言われた時「そんなことないよなぁ。かなり柔軟に物事を受け入れるけどなぁ…」って感じたものでしたが、今になって振り返れば「確かに人の言うことは聞き入れるけれど、芯の部分は絶対に譲らないんだなぁ。」って実感しています。
今まではこれでも上手く行っていったんですよね。でもこれからはこれだけじゃだめだと悟りました。注意深くなりました。
健常者時代は我が道を行くぞ!って感じでしたが、今は常に警戒する癖が付いています。極端に失敗を恐れるようになりましたね。
もしかすると、まだ根本から心の回復はしていないのかもしれません。トラウマとでもいうのでしょうか?心の傷とでもいうのでしょうか?かなり大きくて深いものがぐっさりと体を貫いている気がします。
繰り返します。
高次脳になったらもう、以前の自分の能力を取り戻すことはない。と診断されていましたが、今の自分の状況を考えると「そうでもないんじゃない?ほぼ取り戻しているようだけれど…」って感じています。
その証拠に、
この考え方は今は消えさっています。
今は「元に戻ったよなぁ。」という実感があります。
でも今の状態で満足をしているわけでもないです。さらに脳をパワーアップさせたいです。
昔の自分ではできなかったこと、やらなかったこと、避けていたことにチャレンジしたいですね!
その一つとして何十年も敬遠していたapple製品のipadで、「いろいろ試してみたいなぁ。何かを作り出してみたいなぁ。」って考えています。
障がい者になりたてだった2年弱前に比べたら、私は相当回復しています。
滅茶苦茶周りに支えられてここまで回復できました。ありがとうございます!
まだまだ回復してみせます!負けません!