インフルエンザ脳症で入院して2日目。この日は感情の制御が利かなくなっていました。
脳の障害による感情失禁なのでしょうか?悲しい事やイラっとした事など、普段だったら「ふ~ん」で済ますような出来事に対して、強い反応を示していました。しかも見境なく。
それが良くわかるのが、この日の夕飯の前後の記録でした。
これを見てください。入院して2日目である1月16日18:03の夕飯の記録です。
これは病院食の夕飯があまりにも不味くて憤慨している状態で書いています。アンパンマン、赤い彗星のシャア、美味しんぼの山岡にと海原雄山。…何の関連もない登場人物が、いかに病院食がまずいのかを解説しています。
私はご飯の炊き具合にうるさいタイプです。その影響で病院の「べちゃ!」としたご飯が許せずにブチ切れています。文句のオンパレードです。
でも、この夕飯記録の1時間ほど前に書いたものは雰囲気が180度違っています。
面会時間終了で帰宅した妻と、家で寂しくしている子供を想い、とても悲しいポエム的な記録を泣きながら書いています。あまりにも恥ずかしい内容なので公開ができないレベルです。
高次脳機能障害には「感情の抑制が効かなくなる」という症状があります。きっとその影響があったのでしょう。
入院中のささやかな楽しみである夕飯のご飯がべしゃっとしているのがよほど腹に据えたようです。入院中の寂しさがどこかに吹っ飛んでしまうほどに…。
夕飯を記録を見るとなんとなく陽気な感じもしませんか?不満爆発な状況なんですけどね…。
たぶん飯の炊き具合の不満を描き表しているうちに楽しくなってきたのだと思います。怒るのならずっと不満を書き連ねればいいのに、なんか陽気に不満を表現しているんですよね。
きっと最初は「うわ!この飯最低!頭に来るなぁ!!」だったのが、「うわぁい!病院食の不満を描くのが楽しい!もっと描いてやれぇ。」に変化した状態なのでしょう。
その瞬間瞬間に抱く感情に簡単に支配されています。
でもまぁ絵に描くことで不満が解消できるのなら良しですよね?誰にも文句は言っていませんし。たぶん。
入院当初の記録を確認すると感情の揺れ幅がとても大きかったと思います。でも入院期間が2週間、3週間と経過するにつれてどんどん内容が暗く悲壮感が漂うものになっていきます。
「下手すりゃ一生寝たきりです」って言われるような脳の病気にかかっていたわけですものね…。
ステロイドパルス治療の効果が現れて、脳の腫れが引いたからなのかもしれません。気分はどんどん落ち着き、自分が置かれた現実を理解するようになり、お先真っ暗な気分に変わっていくのです。やがてそれがノートの記録に如実に表れ始めます。