「記憶障害の人って、自分が記憶障害だということを覚えられないんじゃないの?」
昔、こんなことを考えた時があります。まさか自分がその立場になるとは思っていませんでした。
実際どうだったの?というと、私の場合はこんな感じでした。
「自分は病気で記憶が悪くなったんだ…」
と頭では認識していたようです。ポイントは頭で認識したという点です。まだ実感はありません。
言われた事・言ったことはすぐに忘れていました。しかし自覚はありません。
記憶障害だと認識していても、どの現象が記憶障害の結果なのか?何を忘れているのか?がわからないのです。そのため行動が滅茶苦茶になっていました。
家族にとっては悪夢です。私がこれからどうなっていくのか…不安というよりも恐怖を感じていたと思います。すでに子供を震え上がらせて泣かせているし。
入院3日目の私の状況はこんな感じです。
「言われた内容を解できる。」
これだけが救いな状況でした。しかし脳の腫れがいつまでも引かなかったら今後どうなるかわかりません。一生寝たきりになるのも危惧されていました。
「まず一週間様子を見ましょう。」
「最低10日は入院です。3日ステロイドを入れて7日様子を見ます。」
これが妻が1月17日に医師から伝えられた今後の予定だったそうです。
大人がインフルエンザ脳症に罹る確率は1万人に1人。つまり0.01%。あまりにも珍しい症例のため、大学病院でも今後どうなるのか判断がつかなかったのです。
この日初めて頸部エコー検査をしました。
何を調べるのかというと、脳にきちんと血が通っているかのようです。私は脳がやられて行動がおかしくなっているわけですから、脳梗塞も疑われたんじゃないかな?と思います。
東京の病院の頸部動脈エコーの説明書き
やり方は簡単です。ただ横になっていればいいだけ。
ぬるぬるした暖かいゼリーみたなものを塗られます。寝ていればあっという間に終わります。
人間って不思議なものです。
この頃の私は記憶が滅茶苦茶なんです。そして注意障害、遂行機能障害もあります。それでも将来のブログネタにしようとノートに記録を取っています。LINEで妻と情報交換もしています。
能力のアンバランスさというやつなのでしょうか?とても不思議な状態になっていました。逆に言うととても危険な状況でした。
なんせ体は自由に動くのに行動が滅茶苦茶になっているわけですから。そして大抵のことはできてしまうのです。でもやりっぱなし。危険の判断もつかない。
一人で病室の外に出たら戻ってこれなかったと思います。
そういう意味でも私は危険な状態でした。