入院中は寂しい|ベッドの上の孤独な一か月を支えてくれたもの

入院中は寂しい|ベッドの上の孤独な一か月を支えてくれたもの

「面会時間が終了しました…」
17:00になると流れる院内放送。朝からお見舞いに来てくれていた妻が帰宅する時間がやってきました。
私は入院病棟入り口から、エレベーターを待つ後姿をじっと見つめてお見送りです。
東京と田舎の地元で遠距離恋愛をしていた大昔を思い出します。あの頃は汽車に乗り込む後ろ姿を無人駅のホームから見送っていました。
普段だったら1週間連続で出張をしても、遠く離れた海外に出張しても平気でした。でも心も体も弱り切っている入院時は別。何かで気を紛らわさなければ気持ちがつぶれてしまいます。
この身を引き裂かれるような寂しい想い。私はこんなことで紛らわしていました。

入院中の寂しさを紛らわしていたもの

LINEで家族と常時メッセージ交換

LINEは本当にいいですよね。電波が届いていれば、いつでもどこでもメッセージの交換ができます。電話のように相手の時間を奪わないのも良いです。返事もすぐにする必要はありません。手が空いたときでよいのです。一緒に生活をしているので忙しい時間帯、空いている時間帯は理解していますし。
写真も送れます。子供がプレステで遊んでいる様子、ガンプラを作っている様子、1年前に武家屋敷で撮影した武者姿。そんな写真に励まされました。
メッセージを後から読み返せるのもGoodです。私は記憶障害だったので約束事や連絡事を確認する機能に助けられました。

妻に電話で定時連絡

私はもともと電話魔です。学生時代は毎晩誰かしらに電話をしていました。その当時はスマホが無い時代。相手の親が強敵でした。30年以上前の話です。
妻とお付き合いしていた頃は21:00に約束をして電話をしていました。そのころの古い記憶に影響されたのでしょうか?入院した時も当然のように21:00に電話をしていました。錯乱していたのだと思います。
今日の検査の内容、子供が積極的にお手伝いをするようになった事。小学校の始業式など沢山のお話をしました。「毎日話すことあるの?」って思うかもしれないけど、なんかしらあるんですよね。不思議です。

仕事仲間に電話で定時連絡

妻だけではなく仕事仲間にも定時連絡をしていました。
「毎日報告しろ!」
とのお達しがあったからです。
別に仕事の話をするわけではありません。お金が発生するわけでもありません。逆に言えば仕事仲間が私の電話の相手をする義務があるわけでもないのです。
でも「毎日電話しろ!」と言ってくれました。とてもありがたいです。
こちらは妻とは違って緊張感があります。何かしら報告をして実のある電話にしたいと思いました。
そのため約束の3時間ぐらい前から「本日話すことレポート」をまとめていました。完全に仕事モードです。真剣です。
検査の内容が主になるんですが、記憶障害の身なのでこれがまたしんどい。すんなり思い出せません。うんうんうなりながら報告レポートをまとめていました。
電話をかける時間もきっちり守らなければなりません。常に緊張感があります。
入院中なのに滅茶苦茶忙しかったです。ありがたいです。

遊び仲間にチャットで連絡

インフルエンザで入院する前はパソコンを使ったゲームにも熱中していました。そのためインターネットの向こう側にはゲーム仲間がいました。かれこれ10年以上の付き合いがあります。
その方々も大変心配してくれました。「退院したらオフ会しよう!」みたいな感じのノリでチャットをしていましたね。
ゲーム仲間とのチャットはとても良い息抜きでした。楽しく遊んでいた頃の空気に触れることができました。いつもと変わらぬ日常を感じて涙をぼろぼろ流しながらメッセージを読みました。
退院してからすでに9か月。まだ車を運転できず移動できないためオフ会はまだ開いていませんが、そのうちみんなで集まりたいです。

もし今入院したら…絶対これをやっている

1か月に及ぶ入院。外部との交流は、お見舞い・電話・ゲーム仲間とのチャットでした。
今だったらさらに「ツイッター」が確実に追加されると思います。どっぷりとはまると思います。
ツイッターの良いところは自分を出せること。精神的な制限がないところです。だから様々な人がいます。私と同じような病気と闘っている方々も沢山います。
もちろんデメリットもあります。負の世界に引きずり込もうとする人や、他人をだまそうとする人もいます。この点を察知できるのなら「自分を元気づけるツールには最高なんじゃないか?」と考えています。
使い方を間違わなければ、新しい仲間や新しい知識を得られます。今ではツイッターは脳に障害を持った私にとって欠かせないコミュニケーション・ツールとなりました。

入院中の私を支えていたもの

私がインフルエンザ脳症で入院した期間は1か月。
とても長く感じています。常に不安が付きまとい寂しかったです。特に社会と断絶された状態というのは辛いですね。
そんな私を救ってくれたのが、自分が居た世界とのコミュニケーション。
入院時は時間のかかるMRIや心理検査が毎日あります。さらに朝の巡回で確認される「昨夜の飯のメニュー」の暗記に入院記録。さらにさらに易疲労でバテて寝る時間も多いです。
そんなバタバタした状態でしたが「やるべきことがある」「外とつながっている」という状況があったのは幸せだったと思います。