皆が集まれば何でもできる!自信に繋がる新しいコンセプトのB型事業所

皆が集まれば何でもできる!自信に繋がる新しいコンセプトのB型事業所

昨日は月に一度のC’zカフェでの「高次脳カフェ」の日。そこで新しく作られたB型事業所のお話を聞きました。
「おおおお!すごいなぁ…考えてるんだなぁ…プロはやっぱり違うなぁ」
って感動したので、その感動を文章化してみます。
私はとにかく記録を残さないと気がすみません。
そもそも救急搬送直後の意識があるけれど認知が滅茶苦茶な状態でもメモを取っていましたし、千葉リハで心理検査や作業療法を受けていた時も必死にメモを取りすぎて
「メモ取るのをやめましょう!」
って注意されていたぐらいですから私の本能なのです。
聞いたお話をまとめて発表する作業は私の脳のリハビリにもなります。もしかするとB型事業所の宣伝に繋がるかもしれません。
そんなわけで今回は、昨日ヒアリングした新しく作られたB型事業所のまとめを記事にしたいと思います。

挑戦と発見。そして自信へ。

B型事業所のお話を聞いて「当事者が自分を練り込む戦うB型事業所なもかもしれない…」そんな印象を受けました。

  • 挑戦する
  • 出来ることを発見する
  • 自信へとつなげる
  • さらに挑戦する

このような前向きな気持ちを育むのがコンセプトなのかな?なんて思いましたねぇ。
挑戦と自信ってすごく大切だと思います。私自身記憶障害の壁に初めてぶつかった時は「ノートに書いたメモを読み返している最中に、自分が何をしているのかを忘れる。」そんなありさまだったんですよ。
何か目的があったはずなのにそれが思い出せないんです。たった数分前の出来事ですよ?そんな経験を何度も何度も繰り返しました。
そうすると、どうなるかというと「自分はダメになったんだ」って実感がわくんです。事実ダメになっているわけですからね。残酷ですよ障害の事実に初めて気がついた瞬間って。
自分がダメになった事実の次に襲ってくる感情が「自分には存在価値が無いんだ」という絶望なんですよね。
今までソレで生きてきて飯を食ってきたんですよ。小学校の頃からパソコンをいじくりまわして、仕事もパソコンのシステム開発で、バリバリにやってきたんですよ何十年も。それがね。病気のために一瞬で出来なくなった。高次脳機能障害って残酷すぎます。
今までは「自分は何でもできる」って考えていました。それで通用してきました。でもこれからは「何一つ満足にできない」ですよ。死刑宣告と同義でした。
その結果が「自分には価値が無い」という結論だったんですよね。心が折れた私を見た妻は大泣きです。
千葉リハから言われた作業療法の課題に「新しい事へチャレンジせよ」というのがありました。これの狙いは「障害のある自分でも新しい事が出来るんだ」という自信を付けさせるものだったのでしょうね…。
幸いにも私は、パソコンのシステム開発のお仕事を今でも続けられるほどに回復しました。
なんだかんだ言って執念で続けていたんですよね。家族から止められても。何かが憑りついたかのように鬼のような形相で仕事をしていたそうです。
それが良い結果に繋がったのか、やがて「新しい事へのチャレンジ」という作業療法の課題が出るころには「まだまだやれるんじゃないか?」という自信が自分に戻ってきていました。
自分語りになってしまいましたが、私のケースはレアケース。運が良かったのだと思います。やっても出来ないから障害なんですよね。
やっぱり、やってもやっても出来ないのって心が折れますよ。
心が折れると自分はここにいちゃダメなんだって考えちゃうんです。そして引きこもるしかなくなる。人に会うのが怖くなりますから。
私の勝手な想像ですが、今回作られるB型事業所は、そうならないため。もしくはすでに心が折れてしまった方を救うための事業所なのかなぁ?なんて思いました。

まだまだできるぞ!をみんなで証明するB型事業所

中には複数の障害を抱える方もいると思いますけれど、高次脳機能障害って全能力が障害を受けるわけじゃないんです。
例えば私の場合は、短期記憶が障害を受けています。記憶障害です。だからすべきことを忘れてしまって目的を達成できないという遂行機能障害でもあります。注意すべきことを忘れるために注意障害とも診断されています。
でも計算力やモノを考える力、発想力は普通の人です。障害はありません。普通なんですよ。つまり、記憶力が欠けてしまったのを代替手段でカバー出来れば、普通に何でもできるわけです。困りごとが無くなります。
今度作られるB型事業所は「みんなが集まれば何でもできるぞ!」をコンセプトにしています。例えば

  • Aさんは料理
  • Bさんは販売
  • Cさんは運営管理

そんな高度な事ができるの?って思うかもしれないけれど出来るんですよ。高次脳機能障害ってそういう障害なんですよ。私と同じです。スキルのバランスが崩れて出来る出来ないの差がはっきりしているだけで、障害のない脳機能は普通の人なんです。
だから全体的に脳機能が低い障害を持つ人と同じような接し方ではダメだと思います。
「脳に障害がある」と聞くとなめてかかってくる人がいますが、場合によっては「大学教授にあいうおの書き方を教える」ような感じになってしまいます。
例えば「あなたはお昼に食べたメニューを思い出せないのだから、計算力もゼロだろう。」そんな判断を下す人がいるんですよ。私はそういう舐められ方を経験しています。屈辱以外の何物でもありません。
何度「私の方があなたより頭が回りますよ?(怒」って言いたくなったことか…。言っても馬鹿にされるだけだから言いませんけれど。ホントくやしいですね。
高次脳機能障害って形式上は、記憶、注意力、遂行機能…って科目が分かれていますが、同じ状態になる人はいないそうです。性格と同じですよね。
だから「あれはできないけれどこれは得意だよ」という得手不得手があって当たり前なんですよ。そのふり幅が大きいだけなんです。
人によって不得手が違う。だったらその不得手の部分を、他の人が担当すればいいですよね。一人二人じゃカバーしきれなくても、何人も集まれば穴は無くなります。
みんなが集まればなんだってできると思います!
それが今回作られるB型事業所のコンセプトだと聞きました。とても素敵だと思います!
お互いがカバーしあって業務を上手く回せて行けるようになれば、自分に自信が持てるようになるはずです。

具体的にどのようにして障害を持つ人に自信を付けさせるの?

中途で高次脳機能障害になった方は、それまでの経験値が残っているんですよね。
だから、私のようにナンプレが解けなくてもシステム開発ができる。そんな人がいるのです。他には料理ができるとか、ピアノが弾けるとか…何でもありです。
体に染みついているスキルは障害後も発揮できます。
なぜかというと脳の中の領域が違うからなんです。考える領域と経験が蓄積される脳の領域って違うんですよ。
私自身も実感しまくっています。だって私システム開発はできるけれど、お昼に何食べたか思い出せませんから。言われたことをすぐに忘れちゃいますから。電話対応なんて無理無理!
それでも私はパソコンのキーボードをブラインドタッチができます。キー入力はとんでもなく速いです。これは経験からです。脳がブラインドタッチに適応しているのだと思います。プログラミングも超余裕ですよ。障害前に持っていたスキルを当たり前に発揮できます。
同じように包丁で野菜を切るのが得意な人は、障害を負っても得意だったりするそうです。
このように障害の影響を受けてはいないスキルは残されています。他人と同じ動作が出来るかどうかは関係ないです。とにかく自分で出来ることがあればいい。
その残されたスキルを事業所の業務と一致させる。
例えば接客が得意な人もいるでしょう。調理が得意な人もいるでしょう。販売が得意な人もいるでしょう。試食が得意な人もいるでしょう。これらを仕事とするのです。
「美味しいものが大好きで、もうちょっと塩を入れたのが好き!」でもOK!
【大事なのは何かが出来る。出来ることを見つける。見つけたらやる。やって自信をつける。】
そうして空になってしまった心のエネルギーを補充する。心のエネルギーが溜まれば自信の源となります。新しい行動への挑戦へとつながっていきます!
良い事尽くしではないでしょうか。

どうやってB型事業所を運営していく?もう少し突っ込んでみた

私、こういうお話を聞くのがとても大好きです。だから、さらに突っ込んでコンセプトだけではなくて具体的なお話も聞いてみました。

勤務形態はどうなるの?他の会社みたいに8時間労働なの?

こういうB型事業所って「相談支援事業所」というところで計画を立てるそうなんですね。ここに細かく説明が書いてあります。↓

相談支援事務所とは「支援プランを立てたりする専門の機関なのかな?」って思いました。
例えば週に何日チャレンジするかとか、1か月に何日チャレンジするか。とかね。
作業時間もですよね。易疲労が酷いと1時間働くのも大変だったりします。
私も散々経験しましたが、突然電池切れになって動けなくなるんですよ。数分前まで元気いっぱいだったのに…「はぁはぁ」言い始めてグッタリしたりしていました。
この状態で働くのは無理です。つよく頭が重くなり、何も考えられなくなりました。歩くのもしんどかったです。買い物の時にちょくちょく症状が出ましたが、座り込むしかなかったですね。
個人によって障害の状況って違います。その辺りの見極めが絶対に必要だと思います。
「働くのだから全員週5日出勤。勤務時間は9時~17時!」
なんてやるのは絶対ダメ。無理。だから裏方からのフォローが大事。そこにもの凄いパワーが使われると思います。その一つが相談支援事業所での計画なのだと思います。

材料の仕入れ先はどこか決まっているの?

お話を聞いていて疑問に思いました。
「お弁当の材料の仕入先って、イオンに買い出しにでも行くのかな?」って。
事業所がすることは、カフェとお弁当の販売なんですよね。ということは調理するための材料が必要です。仕入が必要です。近場のスーパーに買いに行くのか専門の業者から仕入れるのか。何かが必要になります。
そこで「材料などはどこから仕入れるのですか?」と確認してみました。すると「虹と風のファーム」というところから仕入れるとのことでした。
サイトはここみたいですね。
↓↓↓
https://chiba.seikatsuclub.coop/nijinomachi/farm.html

虹と風のファームでは、障がいの有無に関わらず農業に多様な人々が出会い、交流し、働きあう農園をめざします。

…なんかすごく気になります。後でじっくりと腰を据えてどんなところか確認してみたいです。今の印象は「色々な方々が農業に参加する仕組みが用意されている」かな?
興味深いです。

お弁当やさんの営業時間やターゲットは誰なの?

私はどんどん突っ込んでいきます。だってせっかく作ったお弁当をどの様に売るのかが気になるじゃないですか!利益は大事ですし。作業者のモチベーションだって違ってきますよね?
そこで「何を誰に売るの?」を確認してみました。
今のところは高齢者が対象だそうです。なぜかというとお店の前を歩いている人が高齢者だからです。
お弁当販売の時間帯は「11:30~13:00」です。その時間帯は会社勤めの方々はオフィス街にいます。子供は学校です。となると残るのは自宅にいる人たち。おのずとターゲットは高齢者になるのですね。
この先、お弁当の配送サービスも考えているそうです。足腰が弱っている高齢者の場合、外出してお買い物をするのも大変ですものね。それが届けられたら楽でいいですよね。お天気だっていつも晴ればかりじゃないですし。
お話をしたりするきっかけにもなりますね。知らない人との会話は脳への刺激になります。
ふと思ったのだけれど、会員制のお届けサービスも面白そうですね。固定収入になるから予算の見積もりが立てやすくなりますね。また材料や人員の手配も計画を立てやすくなります。…でもお客さんからすると敷居が高くなるかな?わかりません。

B型事業所の話を聞いて浮かんだアイデア

私の職種と性格上、このようなお話を聞くと色々なアイデアが頭の中に浮かんできます。うれしいです。障害になりたての頃は絶望感しかなくて、アイデアを考える余裕はありませんでしたから。
B型事業所のコンセプトを聞いて真っ先に思いついたのが「スキルの見える化」です。
工場などでは「一つの作業工程の専門家になるのではなくて、いろいろな作業工程をこなせる様になろう!」という考えがあるんですよね。多能工と言います。目標を立てて従業員の成長を促して多能工を目指すのです。
そのために必要なのが、誰がどのようなスキルを会得しているのかをみんなに知らしめることです。その「知らしめる」という部分を「見える化」するんですよ。
ふと思ったのはこんな感じ。↓難易度ごとに分けた作業工程に、実践可能なら〇をつけていきます。
B型の施設でどうなのかな?とは思うのですが、高次脳機能障害って他の人から見ると障害の理解がとても難しいです。当事者同士でも「?」となります。
だから同じ職場にいる仲間を理解するためのヒントにもなるんじゃないかなぁ?なんて思いました。
そういえば昔、ネットでお化粧品を販売している会社の事務所に招待されたことがあります。
そこではスキルを身に着けると表彰されます。ご褒美が出ます。そしてちょっとしたヒロインあつかいになります。
ご褒美の一環として、かわいらしいスキルの見える化リストが貼られています。大きな壁紙に担当者の顔写真。お花がハート形に飾ってあったかな?そんな感じでしたね。
「こりゃぁ表彰されて、ここに載っている人は嬉しいだろう」
見ていてそんな気にさせられるリストでした。そういうのも華やかで面白そうなんて思いました。
このような見える化リストがB型の事業所にあっているかどうかは分かりません。
が、私的には結構いいアイデアじゃない?なんて勝手に想像しています。こういう想像ってワクワクしますしね!

思い出しました。ある事務所でNo1の人がタスキをかけて仕事をしていましたよ。「今月の売り上げNo1!」といった文言が書いてありました。邪魔かもしれないけれど、プライドはくすぐられますね。

いや、どうなんだろう?こうして書いてみて思ったけれど…ううーん。よくわからないですね。たぶん心のエネルギーの状態が影響しそう。下手すると「私はやっぱりダメなんだ」に繋がっちゃうかな…???そうなる気持ちもわかります。

挑戦しよう。自信を付けよう。明るい未来のために

B型事業所のお話を聞いて、私の妄想が先走っていまいました。でもこういうのを考えるのが大好きなのでよしとします。これは私の長所です。
自分の特性を「長所です」と言えるようにまで自信が回復しました。おかげ様です。
少し前までは、本当に辛くて辛くて辛くて辛かった。何をしても失敗していましたから。
障害を負った私を見下す人もいましたしね。酷いものです。
でも今は平気です。疲れると昼間の出来事をすっかり思い出せなくなりますが「まぁこんなもんだ。」で済ませています。
なぜなら他のスキルが沢山あるからです。このような武器を発見できると心が強くなりますね。折れなくなります。多少の失敗は「まぁ仕方がないか!」って流せるようになります。だから今は引きこもり状態にはなりません。昔を思い出して悲しむこともありません。
今回できたB型事業所の狙いはそこなのだと思います。
出来ることはある。必ず見つかる。まだこれができる。だったらそれを磨こう。どんなことでも追及すると奥が深いですものね。
やりましょう!頑張りましょう!障害を負っても成長しますね。出来ますね。まだまだやれますね。
やりましょう!
…締めが精神論ぽくなりましたが、まぁそんな感じです。自信につながるB型就労施設のコンセプトは素敵だと思います。今後も深堀りしていきたいですね!