高次脳になって1年を振り返る|千葉リハも気にする脳の回復に必要なもの

高次脳になって1年を振り返る|千葉リハも気にする脳の回復に必要なもの

インフルエンザ脳症で高次脳になり、もうすぐ1年になろうとしています。ただいま3級の手帳を所有しています。
今年もインフルエンザが猛威を振るっています。私と同じようにインフルエンザ脳症になってしまう方が出てしまうかもしれません。辛いですね。
高次脳機能障害になると、今まで当たり前にできていたことができなくなります。それはもうすごいショックです。
今の仕事は無理と言われた時はそりゃもう…まぁ頭が勝負のシステムエンジニアですしね…。
あれから1年。私は今どんな仕事をしているのでしょうか。お伝えいたします。

高次脳になりましたが仕事の内容は変わっていません

驚かれる方もいるかもしれません。実は発症前と同様にお客さんとメールで情報交換しながらシステム開発とサポートの仕事を続けています。仕事の内容は全く変わっていません。
病院の先生には「高次脳の人がやる仕事ではない!」とクギを刺されましたが、なんとか山場を乗り切れました。
私の仕事はコンピュータシステムの開発とサポートです。お客さんが現場で使用するシステムを作り、要望を聞き、それに応える。そんな仕事を進めてきました。
お客さんとはメールで情報交換をします。きっちりと要望をまとめてくる方もいますし、一緒に考えていこうとするスタンスの方もいます。そういう方たちを相手に、よりよい利用方法を提案して、一緒にコンピュータ・システムを作り上げるのです。

退院後3か月間は地獄の毎日でした

私はコンピュータシステム作りが大好きです。小学6年生の時、親からPC8801mkSRというパソコンを買ってもらいました。その日から40年近く経ちますがパソコンを触らなかった日はないくらいです。
そんな私がはじめて「パソコンが怖い」と感じました。病気の後遺症の影響です。
どんな後遺症なのかというと「直前にやっていたことを忘れてしまう記憶障害」です。お客さんからの要望も忘れてしまいます。システムを作り変えたことも忘れてしまいます。作っている最中に「あれ?これやった?やってない?」なんてこともざらでした。
1歩進むと3歩後退する状況です。普段なら5分で完了する簡単な処理が6時間かけても終わりません。
でも私にも意地と責任があります。「絶対に終わらせなければならない。」「自分はダメになったと思われたくない」と、修羅のようになっていました。
子供や妻が「もう仕事はやめて!」と止めに来ても、ものすごい剣幕で追い返すような状態です。もはや誰にも止められません。
「次に倒れたら一生寝たきり」と主治医に注意されていましたが、「それでも構わない!」と真夜中になっても仕事を続けていました。普段だったら、5分で終わっていた簡単な仕事のためにです。
疲れはパフォーマンスを一気に低下させます。記憶力が一気に落ちます。たった今行っていたことも忘れます。そうするとまた最初からやり直しです。さらに疲れます。
まさに無限地獄でした。でも諦めずに本当に死ぬ思いでしがみつきました。

あれから1年たった今はどう変化したのか?

「仕事をしているそばから、仕事を忘れていく」そんな悪夢のような毎日を経験してきましたが、日がたつにつれてだんだんと落ち着きを取り戻せるようになってきました。
記憶力が回復してきたのと、自分の欠点をカバーする工夫が見つかってきたからです。(これらの工夫は千葉リハのグループリハで得た情報もまとめて後で記事にしたいですね。)
それに伴い仕事もスムーズにこなせるようになりました。仕事がスムーズだと自分に自信が付きます。自分に自信がつくと前向きになれます。全体のパフォーマンスが上がりました。
時間と気持ちにも余裕が出てきます。すると健康だった頃のように「新しい事にチャレンジしてみよう!」と前向きになれるんですよね。
インフルエンザ脳症になってから1年。ようやく以前のような余裕のある精神状態に近づけたかな?と実感しています。

高次脳の回復のポイントは疲れの自覚?

障害を持ったばかりの頃は「早く元の世界に戻らなくちゃ!」と考えてしまいます。この考えはとんでもない焦りのもとです。
限界以上に頑張ってしまうため、ものすごい疲れます。
でも高次脳になると疲れを自覚できなくなるんですよね。だから家族が見ると疲れ果てて鬼のような表情になっているのに、本人は「疲れてない!邪魔するな!」なんて怒ってしまいます。
こうなるともう誰にも止められなくなります。本人は一生寝たきりになるのを覚悟していますから。自分から火の中に飛び込むのを誰にも止められないのです。
パフォーマンスは確実に落ちます。負の無限連鎖です。でも自分が止められないんです。とても悲しいです。そして疲れるほどに正常な判断はできなくなっていきます。
「もっと頑張らなくちゃ!」と…。

早く良くなりたいのなら…無理をしない!疲れない!休憩をとる!

千葉リハでも【疲れの自覚】は重要視しているようです。OTさんに「私が何かを作るとしたら、今欲しいものは何ですか?」と聞いたところ「当人の疲れがわかるものが欲しい」と回答がありました。
疲れは百害あって一利なしです。やめられない気持ちははわかります。でも時間を決めて切り上げるのです。どんなに途中でも。今ここでやめると忘れちゃうとしても。最初から巻き戻しになるとしても。やめるのです。
「勇気をもって仕事を途中で切り上げる」
ですよ!それが仕事復帰への第一歩です。絶対に仕事が完了する時間が早くります。妻も子供も笑顔になるし、自分も笑顔になれます。休憩をするといいことづくめですよ!
無理をしない、疲れない、休憩をする!
これは絶対です!
ほんと!休憩してください!!