「高次脳の方に多い問題は引きこもりがちになる事だ」
確か高次脳カフェに参加されている高次脳センターのセンター長さんからのお話だったと思います。
私はなるべく外に出るように心がけてきましたが「なるほど!わかるわぁ」って思いました。
自分が高次脳機能障害を経験してきたから良くわかるのですが、外出って敷居が高いです。勇気が必要ですね。
なぜかというと、失敗するからなんですよね。失敗を恐れて行動ができなくなる。それの終着駅が「部屋に引きこもる」なのだと思います。
当然引きこもると挑戦する機会が無くなります。挑戦しなければ失敗はしなくなります。心の平静が保てます。
でも考えてみてください。失敗をしないということは「改善点が分からない」という事でもあるんですよね。
だって何もしないわけですから、自分の障害の特性、長所、欠点など分かりようがないですよね。これらは頭の中であーだこーだ考えるものではなくて、実社会で他人と接したり、行動をしたりしないと絶対に見えないものだと思います。
人と接して「あれ?」と思われてしまうところがある。その「あれ?」が無ければスムーズにコミュニケーションがとれている証拠ですよね。
逆に「あれ?」って思われてしまうのなら、コミュニケーションがスムーズではないということですね。そこで初めて「あれ?」と思われる原因を追究して、代替手段などを用いて行動を調整していく。
なんというか「PDCAサイクルを回す」ってやつだと思います。(PDCAはもう古いとか言わないように!)
このPDCAサイクルは障害を乗り越える考え方としてとても理にかなっていると思います。
千葉リハからは「色々なことに挑戦せよ!」なんて言われていましたが、こういうことなんでしょうね。やってみて失敗して現状を把握して理想の自分を目指して改善する。
改善をひたすら繰り返す。繰り返していくうちに健常者とタメを張っていけるようになる。そういうことなんでしょうね。
すっごい前向きなことを書きましたが、そんな私も一時期は引きこもり状態でした。だって失敗するんですもの。怖くて行動なんてできませんよ。
でもやっぱり引きこもりは怖いです。危険です。私自身には何か月も引きこもっているとこんな変化が現れたんですよ。
まず社会的なつながりが途絶えてしまったために、常識が分からなくなったんですよ。人と接するときの態度とかね。また、人に騙されやすくなった感もあります。
ちょっと優しい声掛けをされると「この人は良い人だ!」って簡単に洗脳状態になってしまうんですよ。
元々の自分はそんなに簡単に人を信じ込まなかったのですが、人との接点が無くなると「こんな自分にも声をかけてくれる人がいるんだ!」って考えるようになるようです。
これってモロに「詐欺師が孤独な老人をだますのと同じパターン」にハマっていると言えませんか?
私自身この事に気づいたときはゾッとしましたね。このままじゃいけない!って思いました。
さらに恐ろしいのが「口が回らなくなる」ってやつ。引きこもっていると人との会話が無くなりますよね。会話が無いということは口を動かす必要がなくなるわけでして、ずーーーーと会話をしないでいるとしまいには口が動かせなくなるんですよ。
実際私の口はあまり動かなくなりました。(今は動くようになりましたけれど)
「独居老人の認知症」
もうねこのキーワードが頭に浮かんできませんか?私はモロにこの状態になる所でした。危なすぎます。
高次脳になると外に出るのが怖くなります。だからと言って家に引きこもり人との交流をさけるようになると、かなり良くない未来が待っているのが分かりました。
そう頭では理解していてもやっぱり外出や人との交流って怖いですよね。
この「怖い」ってやつが引きこもりになるかどうかの鍵なんだと思います。
とにかく失敗が怖いんですよ。
失敗すると人から「ほれ見たことか。障碍者だから。」こういう目で見られるような気がしてならないんです。コンプレックスからくる強迫観念なのかもしれません。
失敗を人に知られたくないんですよね。だから何度もチェックをする。ミスをしないように。
それでもミスをするんですよ。もうこればかりはどうしようもない。
何度もミスをすると周りにあきれ果てられます。だから「自力で解決するしかない」と考えるようになりますね。
これって「人に頼れない」という高次脳機能障害者の特徴に繋がっていると思います。
よく、「人に頼れるようになれば高次脳機能障害は卒業」なんて言葉を聞きましたが、これってかなりハードルが高いですよ。
そもそも人に頼るという発想が出ません(これが本来の障害の症状だと思います)
そして「人に頼る事で呆れられるのが怖い」というのもあるんですよ。
こちらは高次脳機能障害とは違うような気がします。先読みをし過ぎて恐怖心で動けなくなっているわけですから。
もしかして脳神経内科ではなくて精神科の範疇なのかもしれませんね。
いや、もしかすると「先読みをする」という行為が「高次脳は頑固になる」なのかもしれませんね。ややこしいです。
私も人に頼れなくなりました。なぜ頼れなくなったのでしょうか?
遂行機能障害だからでしょうか?周囲からすればそういう判断になると思います。
でも当事者である私からすると「遂行機能障害の一言で片づけられない理由」があります。
その辺りを深堀する必要があると思いますね。周囲が理由を理解することで高次脳機能障害克服に繋がるのではないでしょうか。そのヒントです。
私が人に頼れない理由は次の三点からです。
この3つの理由の結果、私はいつもビクビク。いつもプレッシャーを感じながら足かせをはめた気分で毎日を過ごしていました。(今は大丈夫です)
この3つは私が周囲を信じていないから生じる理由なのかもしれません。いや甘えられないからなのかな?
「自分の障害は自分一人でなんとなしなくちゃ!」という考えですね。きっと良くない考えだと思います。
私の根底にはこういう考えがあるんでしょうね。
だから、私は人に頼れずに苦しんでばかりいました。抱え込み過ぎて、抱えきれなくなって、大爆発して、とんでもない迷惑をかける結果に繋がっていました。
こっちのほうが酷いのですが、そうなってしまうんですよね…。孤独ですね。辛いです。
私は助けを求めるのがとてもへたくそです。これもきっと遂行機能障害です。高次脳で考え方に柔軟性が無くなっています。
それでも思うのです「このままではいたくない」って。だから挑戦し続けています。
私、元々頑固でしたが、さらに頑固になっています。
私は周囲に対して自分で自分の事を「障害者だ」とはっきりと言っています。
でも人からは「障碍者だもんね」とは絶対に言われたくありません。へそ曲がりの意地っ張りなんです。
だから一度でも私を障害者呼ばわりした人には「必ず見返してやる」という気持ちを抱きます。これが挑戦し続ける理由の一つですね
また、このままではこの先の生活の幅。選択肢が狭まる予感しかしませんしね。
さらにいうと自信を持って行動しないと相手から信用されないんですよね。相手が不安になりますからね。
自信を持つためには、新しい自分でも出来るんだ!という自分を信じられる気持ちが必要です。
その気もちが「自信」なのだと思います。
その自信を身に着けるためには、成功の経験が必要。
成功の経験には挑戦が必要ですね。
だから私は挑戦をし続けます。失敗も沢山します。
失敗をしたら改善です。
それでもまた同じ失敗をすると思います。そこが乗り越える壁になるんだろうなって考えています。
でも失敗をするからこそ改善点を考えるきっかけになるんですけれどね。
こんな循環を回していきたいですね。
スムーズにグルグル回るようになればミスゼロです。
高次脳機能障害の克服ですね。ゴールです。