高次脳機能障害が数年後に改善した時に後悔しないために

高次脳機能障害が数年後に改善した時に後悔しないために

高次脳になって4年目に突入しました。状況はだいぶ安定して言います。精神的にも安定しています。自分の障害特性を理解しています。障害をフォローする方法を知っています。そして実践し問題のない生活を送れるようになってきました。
ここまで回復してきて思うことがあります。それは「高次脳になりたての人にやらせてはならない課題ってあるよなぁ」というものです。
今思えば「この時はこうすればよかった」というものが多々あります。後悔していますが、わからないんですものね。仕方がないと思います。やってしまったのだから開き直るしかない。
ではもう終わりなのか?というと、終わりなのかどうかは分かりません。せめて私の経験を最近、高次脳になってしまった人に伝えておきたいと思います。知っておいて損はないと思いますよ。
脳が回復して心が落ち着いたと思ったら、別の問題が別の場所から噴出してきた…などということにならないために。

人間関係に気を付ける。無理ならいちど遮断する

人間関係というと仕事関係を思うかもしれないけれど、実はそうではありません。確かに職場は気になると思いますが、それよりも重要な人間関係があります。それは家族。特に子供。
私の結論では「高次脳で感情のふり幅が大きい時は、子供は当事者の相手をすべきではない。」となります。子供は大人からの攻撃をもろに受けてしまいます。
高次脳になると感情を抑えることが非常に困難です。少しの不満でも大爆発することがあります。その爆発は子供が耐えられるレベルではないです。
私は子供の心をズタボロにしました。そして今その報いを受けている最中です。
子供は私の影響で心を病んでしまい、異常行動を起こすようになりました。今は私が心に負わせた傷という負債を一つ一つ支払っているような状態です。ようやく自分の障害が乗り越えられた…と思ったとたん新しい壁が現れた形です。でも自分で作った壁です。すっごくつらい。
振り返れば、一生懸命私を何とかしようとしていたのだと思います。でも私はそれを全部振り払って「うるさい!くるな!」とはねのけていました。「家族からの声がけそのものが私の行動を阻害するもの」と感じていたからです。その当時は出来なく奈多自分への焦りと怒りしかありませんでした。子供のことなど考える余裕はありません。
「子供は邪魔」
そういう認識でいました。そしてそれをそのまま子供にぶつけました。それが今の状況を招きました。「酷いです。ろくでなしです。親の資格がない。自分の事ばかり。」このような評価が妥当です。
でも誰でもこうなるのではないでしょうか?。自分が障害を負ってどん底に落ちてパニックを起こしているのですから。私は聖人君子でもないし、自分の身が訳の分からない状態になっているのに冷静でなんていられません。
「それでも子供を第一に考えるのが親だ」というのであれば、私は親をやめた方が良いですね。出来ませんでしたから。自分の事で精一杯でしたよ。千葉リハから指摘された通りです。
今となっては嘆いても仕方がないですけれど「障害が酷かった時は、一人でいたほうが良かったのかな。」なんて思います。そうすればだれにも悪影響を与えずに済みます。ストレスも与えなくて済みます。
感情を抑えられなくなっていた私は孤独な空間にいたほうが良かった。そして平和な空間にいる妻と子供から「早く治ると良いね」って心配デモされていたほうが良かったです。
高次脳機能障害で最も悲しい症状は「易怒性」だと思います。自分も悲しい。周囲も悲しい。みんな悲しい。易怒性を解消できないと皆を不幸にしてやがて本人は一人孤独になると思います。私はその状況の片足を突っ込んでいます。

自分は家にはいないほうが良い存在か?

これは極端な考え方なのかもしれませんが最近よく考えます。
「私が家にいるのは良くないのではないか?」
子供の異常行動の原因は私にあります。今の私は昔と同じように穏やかな性格に戻っています。怒鳴ったりしません。でも周囲をボロボロにした元凶は私です。それが今も根を引いています。
ならば解決策として「私がいなければ家は平和になるのではないか」とが浮かんできます。
なるべく外に出かけたほうがいいのか。それとも別居するか、離婚するか。その辺りも視野に考えるようになりました。
私は病気で高次脳になってしまいました。高次脳になると離婚をする夫婦はいるようです。「自分たちは、そんなことはない。大丈夫」などと考えていましたが、どうやら気が付かないうちに足元が崩れていたようです。
妻と子供が足元でずっと支えようとしていましたが、自分で崩していました。そして今子供が力尽きて脱落しかけている。そんな状況なのだと思います。
子供を救う方法は

  • 私が家からいなくなること
  • 時間をかけて耐え続けること

どちらかなのでしょう。普通なら後者を選択するでしょう。私も頭ではわかっています。後者の方が絶対に良い結果を招くはず。
でも「できるの?できない気がする。」どんな状態です。
「障害を言い訳にするな」と、思う人もいるでしょう。でもしんどいです。自分で自分を守るのに精いっぱいです。もう少し余裕が欲しい。

家族が高次脳になったら…将来こうなるのだろうか?まとめると

私の例です。私の例しか知りませんから。それを元にまとめると

  • 高次脳になると、自分しか見えなくなります。
  • 自分が健常者に戻るためだけで精一杯です。
  • ほんの些細な失敗が大きく後を引きます。
  • 失敗を放置するとあっという間に自信喪失します。
  • 最悪は引きこもりになり何もしなくなります。
  • 必要なものは周囲からの理解。理解とは「失敗する可能性が高いことへの覚悟」です。
  • 失敗するからと子ども扱いすると、子ども扱いを見抜きます。これも自信喪失と引きこもりの原因。
  • 言い換えればただの甘えです。でも甘えられる環境が必要です。
  • 厳しさだけでは焦りを生みます。焦りは失敗に繋がります。失敗は…
  • 感情のふり幅も大きいです。相手が子供でも誰でも容赦なしです。

高次脳は周りを不幸にします。その事に気づいたときはもう手遅れかもしれません。悔やんでも悔やみきれません。
防止できるのなら絶対に防止してください。悲しい事が多すぎます。