インフルエンザ脳症で救急搬送されて3日目の記録です。
この日は担当医師から、今後どのような検査をするのか。どんな状況なのかを伝えられています。
結構ショックだったのが「長く付き合う病気なので覚悟をせよ」とはっきりと宣言を受けたことです。退院したらすっかり元通り!というわけではありません。この時点ではまだその言葉の意味が解っていませんでしたが、確かに覚悟が必要な病気でした。
この病気、本当に付き合いが長いです。今日は発症から1年を過ぎた1月21日ですが、現在は後遺症に悩まされ続けています。まぁ障碍者になってしまいましたからね。
一番の問題は「疲れ」に弱くなっていることですね。もろに実感があります。頑張りたい時に頑張れません。
さて入院3日目の様子はどうだったかというと…。
人の回復力ってすごいと思います。入院した1月15日時点では、完全に針が飛びまくるレコード状態(今時わかる人いるかしら?)で、同じことを何度も繰り返していました。ノートの文字も小さくて力がない。
でも3日目の1月18日になると、ノートに書いた文字もしっかりとしてきて完全に普通な状態なんです。さらに1日に記録するページ数がだいぶ増えています。細かく書き始めているんですね。
18日は担当医師から症状の説明を受けました。しっかりとメモを取りましたよ。
このとき伝えられた「悪化することもある」の一言がとても怖かったですね。
お見舞いに来てくれた妻がトイレ行ったのを、姿が見えなくなって数分後に忘れてしまい「どこに行っていたの?」と確認するような状態でした。もちろん妻はびっくりですよ。ほんの数分前に「トイレに行ってくるね」と言って部屋を出た事実を、私はすっかり忘れて大慌てしているわけですから。
試しに出され問題「自宅の住所を答える」もまともに答えられませんでした。大学生時代に住んでいたアパートの番地とごちゃ混ぜになった住所を答える有様でした。
文字通り頭の回線が途切れてしまっている(?)そんな状態なため、記憶を引き出す瞬間に別の引き出しを開けてしまう状況だったようです。
だから本人は本気で正しい答えを言っているつもりなんです。でも記憶を言葉にする瞬間に全然違う答えを言ってしまう。そんな状態でした。
私は入院中の記録を細かく取っていました。部屋から出るときはトイレや歯磨きの時も時間付きで記録しています。
その記録を読み返すと、トイレに行くつもりで部屋を出ようとしているのに、なぜか歯磨きをしてトイレに行かずに帰ってきたりしているのがわかったりするんですよね。
頭で考えて行おうとしていたことを、実行する段階で思い出せなくなり別の行動をってしまう。これが遂行機能障害の始まりだったんだろうなぁって思います。
入院3日目では、今後回復に向かうのか、悪化するのかがわからない状況でした。
変化がとても細かくて「経過観察」するしかないような感じでした。毎日MRI撮影とステロイドパルス治療です。
自己免疫性辺縁脳炎の可能性も疑われていたようですが、治療法は同じステロイドパルスなので、いずれにしろ様子見しか手がありませんでした。
わかっているのは「脳の血流が悪くなっている」というMRIでの結果と「海馬が何らかのエラーを起こしている」という推測でした。
今後の課題は「何が原因で脳の血流が悪くなっているのか?」という原因の追及でした。