記憶障害者との接し方|発狂状態の私を救ってくれたのは妻でした

記憶障害者との接し方|発狂状態の私を救ってくれたのは妻でした

私もそうなんですけど高次脳機能障害の人って、知らない人が見ると普通の人なんですよね。
非常にありがたい事です。でも、それゆえの悩みというものが出てきたりして、それがしんどかったり、プレッシャーになったりもしています。
私の障害は、記憶、注意、遂行機能障害です。記憶力なんてひどい時は下から100人中100位です。何も覚えられませんでした。
そんな私がこの1年を振り返って「こうしてもらえたらよかったかなぁ?」なんて感じることがあります。そんなお話です。

普通に見えるのに障碍者

私の主な障害は記憶障害です。それが原因で他の高次脳機能に影響をもたらしています。
基本的に誰が見ても普通に見えます。「まさか私が障碍者だなんてわかるまい。」そんな感じです。
でも障害があります。だから影響があります。記憶を必要とする作業は上手くできませんでした。すると周囲の人はどう思うでしょうか?
「なんて物覚えの悪いやつなんだ!」「障害を言い訳にするな!」「普通の人だって忘れるんだから!」
なんてイライラするかも知れませんね。
幸いにも我が家では妻が勉強していたため、記憶障害に起因する失敗で文句を言われたことはありません。
ただ「障害だから仕方がないよね…」と悲しく同情されてしまうんですけどね…。ちょっと辛かったです。自分がみじめに感じます。でもまぁ事実なのでそっくり受けれていましたケド。
高次脳機能障害について一切知識のない人が、私を見たらなんて思うだろうか?って考えたことがあります。
「なんで覚えていないの?」
と、全面的に否定されただろうなぁ…。全く知らない人だったら馬鹿にされるだろうなぁ。なんて思います。だって外見と中身が一致しないわけですから。

得意な記憶と不得意な記憶

最近は収まったようですが、状態が悪い時は記憶障害ゆえにやることが微妙にずれていたんですよ。この微妙なずれが滅茶苦茶辛いんです。普通に見られているから「答えなくちゃ」って思いこんで、自然と自分を追い詰めてしまう。
もう一つ困ることがありました。それは「大事なことは忘れる癖に、どうでもいいことは覚えている」というやつ。妻に何度指摘されたか。
例えば、子供の年齢を思い出せなかったんですよ私。あと自宅の住所も。昔の住所と混ざっちゃってわけが分からない。小学校4年生の子供に向かって「2年生だったっけ?」ですよ。
でもね円周率を暗唱出来たり、入院中にノートPCとスマホを繋げてチャットソフトをインストールして、知り合いとチャットをしたりとか…そいうのは出来ちゃっていたんです。普通の人ができないような複雑な作業はできるんですよね。
また、退院後はシステム開発のお仕事を再開しました。最初のうちは中断した作業を思い出せなくてパニックになりましたけどね。
それなのに、お使いを頼まれると全く頼まれていないものを買ってきたりするんですよ。これって、絶対にふざけてやっているんじゃないです。滅茶苦茶ショックです。「またやってしまった…」すっごい落ち込みますから。何度自分の記憶障害に絶望感を感じたか。

高次脳機能障害者の複雑な所

高次脳機能障害者は基本的に普通の知能なんですよ。障害がない高次脳機能に関しては。
残念なことに、一部の能力が欠けちゃっているんですよね。それがすごく目立つんです。だってそんな人周囲にいませんから。他の能力が高いほどそのギャップは凄まじいと思います。
だから違和感を感じると思います。欠けた能力部分に注目してしまい、舐めた態度をとってしまう人がいるかもしれませんね。でもそういうのは厳禁ですよ。
私に対して「よちよち、わからないんでちゅねー」なんて態度をとったらブチ切れますよ!(笑) 欠けた能力以外は極々普通の大人ですからね。
だけど…「え?なんで??」って間違いを犯すこともあります。すっごい悔しいです。本人は自覚していますから。自覚しているときは絶対に周囲から批難しないで欲しい。
すでに「自分は障碍者なんだ」という認識があるんです。常に誰よりも気にしていて、心配して、不安で、治したい!って考えているんです。
失敗に対して注意とか、叱るとか。そういうのって本人の反省を促すためのものですよね?憂さ晴らしのためじゃないですよね?
本人が自覚して改善を意識しているのなら必要がないんですよ。それどころか叱ることで委縮させてしまい状況を悪化させるかもしれません。
失敗を恐れて殻に閉じこもってしまい、一切行動をとらなくなるのが最悪な結末だと思います。これでは高次脳機能障害の症状は回復しなくなるんじゃ?って思います。
こんな事を書いていると甘やかしと思われるかもしれませんね。でも「骨折した人に松葉杖を使うなんて甘えだ」なんて言いますか?それと同じです。
回復には段階が必要です。いきなり健常者だったころのような難易度の高い課題はダメです。これはあくまでも最終ゴールです。
いきなり高いハードルを飛ぼうとすると一気に自信を刈り取られて…っていうか、ダメになった自分への怒りの抑制が効かなくなります。命にかかわるような悲惨な結果になるかもしれません。私は一度これで痛い目にあいました。階段を1段ずつ上るのは必須です!
できないから障害なんだということは絶対に忘れてはなりません。

当たり前のことが出来なくなった自分への口惜しさと焦りって半端じゃないですよ!

記憶障害の人とどう接していけばいいのだろう?

障害は人によって違いますから、これが正解!というのは無いと思います。なので私にとっての理想のサポートを述べます。
理想は一人でもやっていける自信がついたら嬉しいですね。そのためには失敗しないための工夫を考える。かな?

記憶障害者に必須のアイテムを活用しよう

記憶障害者にとっての必須アイテムはメモですね。でも不安ゆえに何でもかんでもメモを取り始めてしまうかもしれません。すると後で検索ができなくなります。同じような内容のメモを別々の場所に何度も何度も書いてしまうのです。
私は1冊の大学ノートにメモを取り始めたのですが、いつの間にか複数のノートに書き始めてしまい、時間軸が滅茶苦茶になって、読み返せないメモを作り上げてしまいました。
メモはなるべく一本化しましょう。そして要点だけをまとめる。あれもこれもと詳細を書かない!不安だけどね…。
もしPCを使えるのなら、エクセルをメモ帳にするのもお勧めです。実際、私はEXCELで仕事内容を管理しています。私生活のメモは付箋です。1年がたち記憶力が回復した今でも付箋は必ず持ち歩いています。

付箋のメモは便利だけど注意!

付箋って便利です。PCのディスプレイに沢山張っている方もいるのではないでしょうか?
私も付箋を貼っています。以前はとにかく付箋、付箋、付箋。ディスプレイ回りは付箋だらけでした。忘れるのが不安ですから。
でもここでも痛い目にあっています。付箋だらけで、わけがわからなくなるんですよ。紙って広げられたら閲覧しやすいけれど検索ができないじゃないですか。欲しい情報がどこにあるかわからないんですよ。
なのでノートとの併用が必要でした。でもノートは検索がとてもしづらい。見渡せませんから。高次脳の特徴として「見えなくなると見つけられない」というのがあります。目に映っていない情報を探せなくなるんですよね。
だんだん解消してくるといいのですが…。私は結局、記憶力の回復に合わせて2次元(付箋による平面)のメモを3次元(ノートによる立体)にしていきました。

メモを活用して自立を目指そう!でも最初はここから!

大切なのは、メモを管理するサポーターの存在です。私は妻にサポートしてもらいました。
最初の頃は「仕事のメモだから、自分以外にわかるわけがない!」と妻が仕事を手伝うというのに反対しました。逆に滅茶苦茶にされてしまうのでは?と考えたからです。
でも実践していると違いました。非常に助かりました。記憶のサポートをしてもらってよかったです。
人って専門外の事でも対応できるんですね。本当に感謝しています。お礼に毎晩肩をもんであげています。
そんなわけで、記憶障害者との接し方は「うまくメモを活用する手段を考えて共に実践する。」ですね私の場合は。
最初から完璧な使い分けなんてできるわけがありません。さんざん実践して失敗した後に、自分にマッチする記憶のサポート方法が見つかるのだと思います。
記憶のサポート方法が見つかり、自分に自信を持って行動ができるようになるのが記憶障害者の理想的なサポートかな?なんて思います。