ある日、高次脳の方への寄り添い方を考えているツイートを見かけました。
「どんな風に寄り添うのが、理想なんでしょうね。」
私は寄り添われる立場の人間。寄り添う側の気持ちを考えたことがありませんでした。
そこで「どんなふうに寄り添われるのが理想なのだろう?」と考えてみました。
寄り添いとは当事者支援なのだと思います。
じゃぁ支援って何をすればいいのだろう。
きっと困っていることをフォローできるようになればいいんだろうなぁ。
じゃぁ当事者の困りごとって何だろう?
きっと「障害を負っていた時に出来ていたこと。障害を負ったら出来なくなったこと。」この差が困りごとになるんじゃないのかな?
だからその差を埋めるのが当事者支援に繋がるのかな。
差って「よくわからないけれど生じている不便」なんだろうな。本人ですら自分が不便な思いをしている理由が分からなかったりするし。うまく言えないけれどそこが鍵なんだろうな。
でも、いきなり当事者の不便さを突き付けられても支援する側が戸惑ってしまいそう。だって普通の人には理解できないようなことが普通に起きるから。
1年半高次脳機能障害を経験してわかったのは、普通の人は絶対に経験することが無いだろう理解不能な不思議なことが起きるということ。
この理解不能な不思議なことを予備知識の例としてリストアップするのは、当事者支援への意義があるかもしれない。
同じことで困る人はいないだろうけれど、雰囲気をつかめるかもしれないし、困りごとを考えるきっかけになるかな?
じゃぁ私の変化や戸惑ったことを書いてみようか。
そんなことを考えながらこの記事を書いてみました。
私は1か月間、入院しました。で、最初の頃の検査で記憶障害って診断されていたようです。
診断を聞いた妻が、「記憶力回復に良いから」ってインスタントコーヒーを子袋に入れて持ってきたんです。「つねに匂いを嗅ぎなさい!」って感じで。
で、私は素直に言われた通りにコーヒーの匂いをしょっちゅう嗅いでいました。
でもコーヒーの匂いは感じていなかったようです。そしてその事実に気づいていませんでした。
脳が腫れ上がっていた頃は、匂いを感じる脳の機能がゼロになっていたんだろうと思います。
普通ならパニックになりそうですが、注意障害で匂いがしない事に気付いていませんから。匂いを感じてから初めて「今まで匂いがしていなかった!」って気づいたぐらいです。
入院する直前まで虫歯の治療中だったんですよ。仮蓋をしていた状態でした。
入院中はそんなことはすっかり忘れていました。気が付いたのは歯が痛み始めてからです。
仮蓋はすべて剥がれ落ちて、治療中の葉の根っこがむき出し状態。これで痛くないわけがない!でも全く痛くなかったです。
痛みに気付いたのは、入院して2~3週間後です。
ちなみに点滴や血糖値コントロールの注射も痛くありませんでした。さんざん手足に針を刺しまくったのに、痛くないのって不思議。
顎が疲れていたい!と感じたのは退院後。イオンで念願のかつ丼を食べた時でした。
小盛りだったのに全部食べ切れませんでした。お腹がいっぱいになったわけではありません。
カツを食べる力が無くなっていたのです。顎の付け根がだるくて痛い。大好きだったカツ丼を初めて残しました。半分も。
ちなみに味付けも辛かったです。あまじょっぱ過ぎて。
「なんでこんなに余ったる味付けなんだよ!」って不思議でした。病院食って本当に薄味なんですね。
私は普段から頭の中で音楽が流れています。イヤーワームっていうみたいですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%A0
私、仕事中もお散歩のときも、気が付くと頭の中に音楽が流れています。
イヤーワームを解説するWIKIを読む限りでは、邪魔で良くないものっぽいですね。
私はそうは捉えていません。気分がいいと頭の中に音楽が流れるようです。仕事中にも流れます。沢山集中すると自動で音楽がオフになります。便利です。
このイヤーワームですが、退院後数か月間はまったく起こりませんでした。退院後にイオンにお散歩に行くようになっても頭の中は無音。
その事に気付いたときは驚きました。「そういえば、頭の中に音楽が流れていない!」って。
ちなみに今は頭の中で音楽が流れています。不思議です。
頭の中に音楽が流れているときは、とても仕事がはかどります。私だけなのかな?
私、PCでシステムを作るのがお仕事です。頭を沢山使います。集中力を必要とします。でも、周りには音があったほうがいいです。雑音が好き。子供が外で叫んで遊ぶ声とか最高です。
静けさよりも、音があったほうが集中できるタイプみたいです。
でも退院して数か月は音があるとダメでした。
注意が分散してしまいます。すぐに積み重ねた記憶が途切れてしまい頭の中がリセット状態。これでは仕事が全く進みません。それどころか記憶を積み重ね治すために数時間分やり直しになります。
そんな状態でした。車が通る音がちょっとしただけでもダメ。物音がとても腹立たしかったです。
「天気が悪いと…ってそんなことあるの?不思議~」って思っていました。自分が当事者になるまでは。
今では天気が悪いと…
「あぁ~頭が~しんどい~」ってなります。
初めてしんどさを感じたのは、夏に台風がやって来た時でした。脳に傷を負うことで気圧の変換に敏感になってしまったんでしょうねぇ…。
あれから1年以上がたちましたが…以前ほどしんどくはないのですが、今でも若干天候に左右される感じです。今もちょっとだるいですね。
私、ブログを書いたりツイッターをしたりとなるべく活字に関わるようにしています。文字を書くのは頭への良い刺激になります。
でもあるんですよねぇ。どんなに気を付けているつもりでも誤字が…。
もともと誤字が無かったわけではありませんが、病気後は妙に誤字が増えたなぁ。って認識です。
書くときは頭の中で文章を読み上げながら、頭の中の音声を手を通してキーボード操作するって感じです。
でも自分の頭の中で読み上げた文字と体が操作する文字に微妙にずれるときがあるようですね。本当に微妙なずれです。でも、気になりますね…。
元々あった誤字と変わりがないのか、それとも注意障害の影響で誤字が増えたのか…。
仕方がないので、ツールを使って誤字チェックをしています。このサイトでやっています↓
https://enno.jp/check
私、基本的に車で移動です。仕事場は自宅。だから電車ってめったに乗りません。だからインフルエンザなどをもらう機会がとても少ないと思います。
それでもインフルエンザに感染しました。たまたま東京の出かけた数日後に。
「ゲホゲホ」と電車の中で咳をしていた人がいたと思います。それが私にインフルエンザを感染させた人なのでしょう。私を障害に車にしたインフルエンザの原因をそのように捉えています。
そのため電車の中で「ゲホゲホ」という咳をする人に対しては人一倍敏感になってしまいました。
マスクをしているのならまだしも、マスクなしで前を向いて席をまき散らす人がいます。そういう人を見ると強い怒りが湧いてきます。
「お前のような奴が、俺を障碍者にしたんだ!」ってブチ切れそうになります。以前はこんな気持ちは起きませんでした。今は明らかに咳をまき散らす人間に対する嫌悪感が強まっています。
でも八つ当たりはNGです。ただの危ない人になってしまいます。だから静かに車内を移動します。
でも、公共の場所で咳をするときはマスクぐらいしましょうよ。「ゲホゲホゲホ」って当然のようにウイルスをまき散らすのはやめてほしい。特に今はコロナで誰もが敏感ですし。
これって「高次脳になると曲がったことが許せなくなる」っていう症状の一つなのかもしれません。
今までこのブログで、高次脳機能障害になって大変だったことを書いてきました。
総合すると「自信が無くなって辛い」と「作話」が大きな問題だと理解しています。
でも私が障碍者になって気づいたことはこれだけではありません。困ってはいないけれど「うわ、ほんとかよ~」というような体験を他にも色々としています。
当事者にしかわからない細かい気づき。インフルエンザ脳症で高次脳機能障害になってから襲い掛かってきた障害の症状のひとつだと考えています。
「あまりこういうことを書く人はいないだろうな。」って思います。
でも当事者(私)からすれば「そんな細かい事まで私を理解してくれるなんて!」って思えるような共感の種です。
もしかすると私と同じような状況の方にも一部が通じたりするかも知れません。
そんなわけで高次脳機能障害になってから、自分が経験した不思議な体験を書いてみました。