高次脳機能障害になったら怒りぽくなった。あんなに優しい人だったのに

高次脳機能障害になったら怒りぽくなった。あんなに優しい人だったのに

「高次脳になったら人が変わったように怒りやすくなった。」
高次脳アルアルなんじゃないかな?そうでもない?私は妻からタイトル通りの事を言われました。自覚はあります。
怒りやすくなったと思うし、怒った時の様相が尋常ではなくなったとも思います。
普段はおとなしいです。昔通りの雰囲気。でも一度怒りのスイッチを踏まれると、瞬間的に爆発してしまいます。ほんと嫌。
怒った後は自分自身にがっかりします。「またやってしまった」って大後悔。
大抵は子供が私を怒らせます。妻が原因で怒ったことは1度だけでしょうか。
【仕事に過集中してぐったりしているのに、それでも仕事を止めようとしない私を見かけた妻が、私の身体を心配して仕事を中断させようとして、私が怒り狂った。】
こんなろくでもない事件がありましたね。妻は泣いていました…。
ほんと、この怒りやすくなった性格。とても嫌です。外出の時でも怒鳴り声をあげてしまうこともありました。そして妻にしかられます。
同じように怒りやすくなってしまった方っていると思います。そして「どのように対策を取れば良いのだろうか?」って悩んでいる方もいると思います。
今回は私の体験を元に「障害を負ったら人が変わったようにブチ切れて怒鳴りまくるようになったけれどどうすればいいの?」を考えてみたいと思います。

なぜ高次脳になると怒りやすくなるか?

高次脳機能障害の症状の一つに「感情の抑えが利かなくなる」というものがあります。
怒りだけではありません。悲しみや笑いが止まらないなどもあるようです。感情失禁と言いますね。
感情失禁は高次脳の人全員にあるわけではないと思いますが、私の場合は怒りと悲しみ2つの感情失禁がありました。今回は「怒りの感情失禁」について書きます。

怒りの感情失禁ってどんな感じ?

私の知る限りでは、瞬間的に反射的に無意識に怒りだしたり、ずーっとぶつぶつと怒っていたりと、2つのケースを見たことがあります。瞬間的な怒りは千葉リハの中で。ぶつぶつ怒っているのは電車の中でです。
千葉リハの場合は私大人時高次脳のグループリハビリのメンバーの方だったので、高次脳由来の感情失禁で間違いはないと思います。
もう一つは知らない人を離れているところから見ただけなので、高次脳なのかどうかは分かりません。
わかりませんが、様子を見ているとなんとなく「高次脳の人なのかなぁ?」って想像してしまいました。もしかして他の障害を持つ方なのかもしれませんが。参考までに。

私の場合、どんな時に怒りの感情失禁が発生したのか

私も怒りの感情が抑えきれなくて大爆発をしたことが何度かあります。
きっかけとなるパターンは2つあります。仕事と子供関係です。妻や他人が起因する怒りはないですね。

仕事への怒りが抑えられなかった

仕事は「障害で出来なくなった自分への怒り」がきっかけです。無能感が酷いんですよ。
仕事ができない=お金が入らない=生きていけない。こんな図式が成立しますから、すっごい焦るんです。
焦って慌てて仕事をしようとするのだけれど、障害があるからできないんですよね。でも出来ない理由が分からない。わからないからやろうとする。でも出来ない。
ぐるぐるぐるぐる…と、ずーーーーと同じことを繰り返し続けるんです。でも一歩も進まない。
気が狂いそうになりますよ。いや、あの瞬間は私の精神は狂っていたのだと思います。
「絶対にやらなくてはならない!」という気持ちの暴走ですね。いくら頑張っても出来るはずがないのに、「やればできるんだ!」という気持ちを武器に特攻です。何度攻め込んでも返り討ちに合って砕け散るんですけどね。
それでもあきらめずに、深夜まで同じ作業をぐるぐると続けて、それでもできない。それはもう怒りですよ。ブチ切れですよ。
こんなに無理をしては自分の身体を壊すのはわかっていました。でも「これが出来ないのなら、寝たきりになっても構わない!」って怒りながら言っていましたから。こうなるともう誰にも止められませんでしたね。
この時ばかりは家族も私を止めるのをあきらめてしまいました。

もう一つの感情失禁は子供関連

私は自分がばかにされるのは構わないけれど、身内がばかにされるのが我慢ならないようです。
以前子供が友達に悪さをされたことがあるんですよね。私の障害は全く関係のないはなしですけれど。
その話を聞かされた時は、瞬間的にブチ切れてその子の家に突入しようとしました。
これまた家族に止められて問題は起こりませんでしたが、このような感情失禁もありました。

なぜ怒りやすいのか?を振り返る

「高次脳で怒りやすくなったけれどなんとかしたい。」そういう方が今この記事を読んでいると想定します。
そこで私の怒りの感情失禁の事例をもとに「なぜ怒るのか?」「同対策を取れば良いのか?」を考えてみたいと思います。
まずは「なぜ怒るのか?」です。
私が怒る原因をざっくりと分解してみました。するとこのようになりました。↓

高次脳機能障害になって怒りやすくなった理由

怒りやすい理由がいくつかの枝に解れています。これをひとまとめでにして言い表してみようかと思いましたが、できませんでした。それほどまでに原因がバラバラなんですよね。
怒りの根っこにある部分は「自分の信念信条に一致していない事象に対して我慢がならない」なのだと思います。
では「事象とは何か?」なんですけれど…

  • 思い込み
  • コミュニティ不足
  • 心の余裕不足

この3点にようやくできるかなぁ?怒りのすべてをカバーできるかどうかは分かりませんが、もしこの3点がフォロー出来たら、怒りの感情失禁はだいぶ抑えられたのではないかな?と思います。

どうやって怒りの感情失禁をおさえるのか?

どこをカバーすればいいか目星がついたら、次は「どうやって」ですよね。今までの経験からコレは使えそうだ。と思うものをリストアップするとこうなりますね。

  • とにかく原因から遠ざかる
  • 居場所や役割を作る
  • 睡眠時間を多くとる
  • 疲れないようにする
  • 怒りの根本の原因を見極める
  • 難しい課題に取り組まない
  • 話を聞いてもらう
  • 出来ること、出来ないことを見極める

なんとなく「腫れ物に触るようで面倒だなぁ」って感じるかもしれませんが勘弁してくださいとしか言いようがないです。
上記の怒りの理由って大きくわけるとこうなるかな?
【環境の整備と理解】
この2つがそろえば、易怒性は発揮せずにすむようになるのかもしれないなぁ?なんて思いました。
なぜかというと、先ほど挙げた「なぜ?」を再確認すると解るかもしれません。

  • 思い込み
  • コミュニティ不足
  • 心の余裕不足

さきほどは上記の3つが怒りやすさの原因だと述べました。この3つの怒りやすさって、体を休めて、心の耐久力を上げれば解決すのではないかな?って思うんですよ。
体を休めるのは基本中の基本ですよね。ここが成立していないと心が乱れます。疲れ果てて余裕がなくなり、自分にも周囲にも優しくなれませんものね。
体が純分に休めたら、周囲とじっくりと情報交換をする。結局トラブルって理解不足から来ていると思うんですよ。その理解不足は交流不足。コミュニケーション不足からやってきます。
普段から「私はこういうことが苦手なんだよねぇ」「わかったーうまくフォローするよ。他にもあったら教えてね」なんて関係を気づけていたらどうでしょう。私的には最高に過ごしやすい環境が整ったと思えますよ。
私は疲れて、心の余裕がなくなると、「幻覚のようなもの」まで見てしまいます。作話って言うのかな?最初の半年は作話が酷かったですね。と、同時に易疲労も酷かったです。とにかく疲れやすいんです。
今でも疲れると記憶がどこかに飛んでしまいますが、あまり気にしていません。誰だって物忘れするでしょ!?そんなノリです。
でも易疲労が酷かった頃は作話も酷かったのです。なにせ記憶が滅茶苦茶に壊れた状態で想起されるわけですから。ありもしない現実にとらわれて一人で怒ったり悲しんだりしていました。
この壊れた想起の原因が疲れなんですよ。脳から正常に情報が引き出せなくなるんです。
記憶が滅茶苦茶で悪いことがばかリが思い出される(捏造される)こんな状況で人に優しくできるでしょうか?できませんね。常にイライラがマックスでした。ない話を作って怒りまくりでしたよ。
こんなことを書くと「やっぱり精神障碍者は危険だ!」って思われるかもしれないですね。でも事実だから仕方がないです。ここをごまかして隠したり、きれいごとを並べ立てていては、理解なんて得られないと思います。
当事者側からコミュニケーションのための材料提示を拒否してどうするの?ってところですかね。

高次脳で怒りがちな人相手に周囲はどう接すればいい?

これって難しい問題だと思います。当事者が怒っているときは、心の底から事実だと信じていますからね。誤解でとんだとばっちりを受けてしまうかもしれません。
下手になだめないほうが良いのではないかなぁ?って思います。どちらかと言えば「黙ってその場を立ち去って沈静化するのを待つ」ですかねぇ。ほおっておけば一人で冷静さを取り戻すのではないかなぁ?って思いますが…どうなんでしょうね。
もし暴力に訴えるようになったら全力で逃げるのを推奨ですかねぇ。より強い暴力や強い感情で戦うというものあると思いますが、この辺は状況しだいですね。どこまで冷静さの種を維持できているのかや、平時の関係性などが強く影響してくると思います。
「怒り狂っているときは別人になっている」可能性もあると思います。私はそこまでの障害ではないので、比較的冷静さを取り戻しやすくなっていますが、危ない時は非難ですね。自分で書いていて悲しいですが現実です。正直に書いておきます。

まとめ

「あんなに優しかったのに病気をきっかけに人が変わってしまった」
つらいですよね。当事者も周囲もみんな辛い。高次脳機能障害になるのってほんと辛い。そして悲しい。
自覚がある人は、どんどん自信を無くしていくかもしれません。私のように。そして引きこもりまっしぐらです。だって人に会うのが怖くなりますから。
今回は、怒りやすくなった原因と対策を記事にしました。
何度も書きますが本当に辛いです。でもどうする事も出来ない。時間と共に障害が収まっていくのを待つしかない。「これだっ!」って思える怒りの障害へのリハビリがあればまた別なんでしょうけれど。
対策は「なるべく心が荒れない環境を用意してあげる」ですかねぇ。それでも作話で勝手に怒ったりするケースもありますし。この場合はどうすればいいのでしょう?私が聞きたいです。
でも、私の場合ですが
「作話で怒りまくっていた時期はあったけれど、今は完全にそのようなことは無くなっています。」
このようなケースもあります。少しずつゆっくりと元に戻っていくのを待つしかないのかもしれません。
高次脳機能障害は認知症に似ていますが認知症ではありません。
認知症とは逆で症状は軽くなっていきます。発症時が最悪なのです。
いつか穏やかな毎日が返ってくるはずです。それを希望に耐える。ですね。
発症前に積み重ねた家族仲良し貯金を取り崩しながら…。