小6女児がインフルエンザ脳症で…のニュースを見て|同じ病気で障害を負った私の意見

小6女児がインフルエンザ脳症で…のニュースを見て|同じ病気で障害を負った私の意見

【長野県内の小学校に通う女子児童が、今月15日にインフルエンザが原因の脳症で死亡していたことが分かった。】
ついに今年もこんなニュースが流れる季節になったのですね。同じインフルエンザ脳症で障害者となってしまった私には他人事とは思えません。
とある掲示板ではインフルエンザ脳症について情報交換がなされていました。
大人での発症確率は一万人に一人と言われているだけあってとても珍しい病気です。そのせいか内容はめちゃくちゃでしたけどね…
私も素人ですが実際にインフルエンザ脳症を体験しています。退院後は自分が罹った病気についていろいろと調べました。主治医ともいろいろと相談しました。
毎年冬になると流行するインフルエンザ。重症化するとどうなるのでしょうか?簡単にですが私が知っている範囲の情報を記します。
そこは「一生寝たきりになる」「一生まともに歩けなくなる」そんなギリギリの世界です。
私の知る限りではインフルエンザ脳症は2種類存在します。死亡する危険性が高いものと、比較的経過が良好なものとです。

経過が悪いインフルエンザ脳症とは

インフルエンザウイルスが脳に入り込み悪さをします。そして脳の細胞を壊していきます。破壊された部分は膿を持つとのこと。
脳が膿むって考えただけでもゾッとします。五年後生存率は17%とのことでした。よくニュースになるインフルエンザ脳症はこちらのケースなのだと思います。
生存率の情報は退院後に書籍から得ました。注意障害真っ最中だったので「私はもう終わりなの?」と真っ青になりました。月一の大学病院での診察で主治医に確認して「予後が良好な方ですよ」と言われるまでは憂鬱な毎日でしたね。

経過が良い方のインフルエンザ脳症とは

インフルエンザが体内に入るのは前者と同じですが、脳を直接攻撃するものではありません。
こちらは自分の免疫細胞が過剰に反応して、自分の脳細胞を破壊してしまうというものです。予後は良好で生存率…という話にはならないようです。私はこちらのインフルエンザ脳症を発症しました。

インフルエンザ脳症の治療は崖っぷちで行う博打?

予後が良好のインフルエンザ脳症と言っても一刻を争う自体です。いつウイルスが脳を直接攻撃するかわかりません。また自己免疫が暴走して自分の脳を傷付けている深刻な状態なのです。MRIの映像からは脳が腫れ上がっているのが確認されていました
そんな状況の中、私への治療の選択肢はステロイドパルス療法一択でした。後で調べてわかったのですが、この治療法は副作用が多く、中には骨の細胞の分裂が止まって歩けなくなるといったものも含まれていました。

ちなみに最初の診断ではインフルエンザ脳症でしたが、ほかに二つの病気が疑われていました。
ヘルペス脳炎と自己免疫性脳炎です。髄液からインフルエンザウイルスが発見されていたため、インフルエンザ脳症で間違いないだろうと推測していたそうです。

予後は良好…それでも障害が残った

私が調べた本によると、自分の免疫反応によって海馬に傷がつくケースが多いそうです。私も海馬に傷が入りました。
海馬は記憶の入り口となる器官。記憶は最初に海馬に書き込まれます。ここで必要ないものは破棄。必要な情報を選別して大脳皮質に書き込んで永久保存。ニ段階仕掛けになっています。
海馬が傷ついてしまうと、昔のことは覚えているのに最近の出来事は覚えられない。そんな矛盾した状態になってしまいます。これが短期憶障害の特徴のようです。私はこの障害を追いました。
短期記憶障害とは昔の記憶はあるのに、最近の記憶がないというもの。厳密には記憶が消えて無くなるわけではありません。これ以上は長くなるので別記事で解説します。

インフルエンザの予防接種はインフルエンザに罹るのを予防する?

私はインフルエンザの予防接種を受けていませんでした。そのため重症化しました。こちらのサイトを確認した所、インフルエンザの予防接種には2つの意味があるようです。https://kansensho.jp/sp/article.html?id=QA17112904
一つは感染をある程度防ぐ効果。もう一つは重症化をある程度防ぐ効果。「予防接種には意味がない」と主張する人もいるので、情報が混乱していますが、私は2つの効果がある説を信じたいです。
ちなみに「熱のせいでインフルエンザ脳症になる」という話をネットで見かけたことがありますが、私が読んだ本には熱の影響でといった記述は見つけられませんでした。

あれからもうすぐ一年。今の状況は?

入院期間は一ヶ月。短期記憶障害、注意障害、遂行機能障害の後遺症を抱える精神障害者となりました。
しかし一生精神障害者ではないようです。少しずつですが高次脳機能がはっきりと働き始めているのを実感しています。
少なくとも半年はメチャクチャな状態でした。それが今では運転再開に向けて実車試験を受けられる程に回復しています。運転の許可って相当に厳しい検査をいくつもパスしないとならりません。それに挑戦できるまでになったのです。
毎年冬になると当たり前のように流行するインフルエンザ。一つ間違えば一生寝たきりになる恐ろしい病気なのだと身を持って理解しました。
今年はしっかりと予防接種をしました。ちなみにワクチンには有効期間と効果を発揮するまでのタイムラグがあります。
流行のタイミングを見計らって予防接種をしたいですね。