障碍者雇用の最終日|次のステージへ進む勇気

障碍者雇用の最終日|次のステージへ進む勇気

  • 「機会があったらまた来て!」
  • 「何かあったら一番に名前をあげるからね!」
  • 「ぜひ呼び戻したいと考えています」
  • 「帰ってきて欲しいです!」

昨日は障碍者雇用の最終日でした。
いつも通りにお仕事をしていると、「ちょっときてー」と声をかけられました。
呼ばれた部屋に入ると、一緒に働いた部署の方たちが勢ぞろい。
お別れのご挨拶がありました。
さらに別の部署からも、お別れのご挨拶がありました。
驚きました。
数か月の障碍者雇用でしたが、ひたすらまじめに頑張ったのが認められていたようです。ありがたいことです。
「戻ってきて!」
複数の人から何度もこの言葉を聞きました。
儀礼的なものではなくて、本当に戻ってきて欲しがっているのがわかりました。
やりたいこと、やり残していること、これから本腰を入れたいこと。
仕事が沢山あったのです。
正直、私も辞めたくなかったです。でも決まりで辞めなければなりません。
非常に残念。心苦しい。お名残り惜しい。
でも昨日で退職となりました。

障碍者雇用。当事者への負担

私は高次脳機能障害があります。だから障碍者雇用でした。
最初の頃はプレッシャーが酷くて、朝は吐きまくり常態。さらにお昼ごろになると猛烈な頭痛に襲われる毎日でした。
夕方になれば疲労で記憶が消し飛んでいたり、注意力低下でやるべき作業をしていなかったり…。そんな出だしでした。
余りの自分のダメさに心も折れてしまい、「もう辞めてしまいたい」と何度か考えていました。
でも、それでは後がありません。崖っぷちからの転落になります。必死に続けました。必死になるとプレッシャーがかかります。気負います。ますます体調を崩しました。
それでも毎日吐きながら職場へと向かいました。
職場に入って1か月が過ぎたあたりで「面談」が行われました。困っていることなどをヒアリングして環境調整をしてもらえます。
燦燦たる現状を話しました。

  • 「限界だから、辞めることを考えている」
  • 「試用期間中でも退社かのうですか?」

辞めることばかりを考えて、こんな相談をしました。
「2週間前に連絡してくれたら何時でも止められますよ」
「あぁ、それでやめられるのか…気が楽になった。」
何時でも止められると思い安心しました。
同時に体調不良が消えていったと思います。
相当プレッシャーを感じていたのでしょう。環境の変化に弱いのが高次脳機能障害の特性の一つです。それがモロに出てしまったようです。
職場にとっては困りものです。この時点で「試用期間完了と同時に退職」が決定になったのでしょうね…。

障碍者雇用のプレッシャーによる体調不良が消えて順調になった後

入社して2か月目ぐらいになると環境に馴染めて、体調不良が綺麗さっぱりと無くなっていたと思います。
また、職場の配慮によって仕事の内容が私の得意な分野に切り替わった影響は大だと思います。そこからは順風満帆な毎日を送れるようになりました。
職場で長年頭を悩ませていた資料の整理を一人で黙々と実施。
退職までにすべて完了させられました。段ボール箱にすると100箱近くありましたが、ほぼ片付け終わりました。若干残ったのが残念です。
また、毎日発生する業務、毎週発生する業務、これらもサクサクと進められるようになりました。
最初の頃はチンプンカンプンで大量の廃棄物を出したり、1つの作業を完了させるのに1時間もかかったり。完了させてもミスだらけだったり…
そんな状況でしたが、最終的には仕事の量が足りないと感じるまでになりました。
「マニュアル化は不可能です」
そう現場の人に言われていた作業も、完全対応マニュアルを用意できました。このおかげでそれはもう作業が速い速い。あっという間に終わるようになりました。周りのみんなもにっこりです。
というか、私があまりにも早く仕事を終わらせるようになったので、「仕事を作らなくちゃ!」と困っているようでもありました。
仕事がどんどん終わるようになると、新しい仕事がどんどん割り当てられます。それらもどんどんマニュアル化です。
また環境整備にも工夫をしました。

  • 入り口と出口を明確にする。
  • スムーズに引き継げるようにする。
  • 現状をつねに周囲に目に見える形で表示。

混とんとしている仕事の流れを私が明確にして、安定させて、周りを巻き込みます。
周りも巻き込むことで、さらに仕事の流れがスムースになります。
そんな素晴らしい循環を作り上げられました。より一層仕事がスムーズになります。
その結果が

  • 「また働きに来てほしい!」
  • 「再び職場に呼び寄せるように働きかけます!」

という結果に繋がりました。ありがたいことです。こんな私でも人を喜ばすことができました。だからもっと喜びたくて、私を職場に引き戻したいと考えてくれたのです(慢心?)

孤独な高次脳機能障害者

私は障害になって以来、人から必要とされる経験をあまりしていません。
今は気を張って無理をしていないと、誰からも相手にされず、あっという間に沼の奥底に沈んでしまう状態です。
沼の奥底は日が当たりません。周りには誰もいません。孤独です。真っ暗です。もがいて無駄です。誰からも相手にされません。それどころか馬鹿にされます。そんな世界。
そんな世界の奥底で、「いつか陽に当たりたい」と少しだけ希望を抱いて、のたうち回っています。無駄になるかもしれない努力を重ねています。いつも不安と闘い続けています。
病気をして何年もこの状態が続いています。そんなボロボロな私が「また来てほしい」と未来に繋がる明るい声をかけられたのです。なんと嬉しい事でしょうか。
実際に「この日からまた来てね!」などという奇跡の声掛けは起きないでしょう。お別れの際の愛嬌でしょう。
でもちょっと期待してしまう自分も居ます。悲しいです。情けないです。この辺りはまだ自立できていないです。
今日からまた孤独な毎日を過ごしています。頭の中にはうっすらと、職場で働いていた光景が思い浮かびます。早くも「あの頃は良かった」状態になりそうです。
でも沈んで過去にすがってばかりいても仕方がありません。
三度、陽の当たる世界に出られることを夢見て、深い井戸の奥底でのたうち回ります。不安と闘いながら。
今日は滅茶苦茶孤独が強いです。
必要とされずにあぶれている自分が悲しいです。
やれることは沢山あるはず…!
もうすぐ高次脳機能障害になって5年目を迎えます。
高次脳機能障害者は孤独です。本当に孤独。
目に見えず分かりにくい障害だから扱いにくいです。
当事者はそれが分かっているから、外に出れずにいます。だって失敗して迷惑をかけるのが容易に想像できますから。
でもそれでは永久に独り部屋の中で悶々と過ごすことになってしまいます。
それもまた辛いです。寂しいです。
私はチャンスに恵まれました。外で戦える経験を積みました。人から感謝されました。必要とされる実感を得ました。
この勢いがあるうちに、次のステージへ進みたいです。
がんばります!