高次脳機能障害になって5年1カ月と19日が経過|やっぱり障害があると実感

高次脳機能障害になって5年1カ月と19日が経過|やっぱり障害があると実感

インフルエンザ脳症に罹って5年以上が経過しました。
インフルエンザ脳症とは、毎年流行するインフルエンザに感染し重症化したものです。後遺症が残りました。物事が覚えられなくなったり、疲れやすくなったり…高次脳機能障害という障害が残りました。
ただ5年前の状況と比べたら、障害の状況はだいぶましにはなってます。時々「もう完全に障害者ではなくなったのでは?」なんて思うときもあります。
でも条件が重なるとやっぱり顔を出してくるようです。障害の影響。
最近は次のような高次脳機能障害の特性を感じます。

  • 易疲労
  • 記憶障害
  • 注意障害

…これ、昔から私が言われている障害特性です。こうして文字にすると「治ったと思っていたけれど、やっぱり治っていないのだなぁ」って実感ですね。
一番困るのは易疲労です。脳の耐久力が落ちているため脳が疲れやすいのです。身体は疲れないのにですよ…不思議ですよね。
脳が疲れると「はぁはぁ」と呼吸が荒くなります。過呼吸ってやつです。何かを思い出そうとすると過呼吸が起こります。
でも自発的に思い出そうとするときは過呼吸はおこりません。人から質問されて思い出そうとすると過呼吸が起こります。同じように記憶を想起する行為なのに結果が違うんですよ。不思議です。
過呼吸が起こると「やっぱり治っていないんだ。障碍があるんだ。」と落ち込みます。だって障害があると一般就労が難しいんですよ。収入が減るんですよ。本当に困る。
私はエンジニアです。沢山のスキルを持っています。お金になるスキルだと思います。障害にならなければバリバリ働いてお金を稼いでいたでしょう。
でも今は違います。脳に障害が残っているのです。毎回毎回「もう治ったかな?障碍者手帳を返納しようかな?」なんて思うんですよ。しょっちゅう。
それなのに突然やってくる過呼吸。そして記憶障害。記憶障害の切っ掛けになる注意障害。困ります。

挑戦と失敗を繰り返して得たもの

千葉リハからは「新しい事に挑戦せよ」と言われています。もともと新しもの好きなので、新しい事に手を出すのは苦ではありません。
だから新しい挑戦を喜んで実行します。ところが100%失敗します。うまくいかないんですよね。
ただし最初は失敗でもやがて上手く歯車がかみ合うこともあります。確率的にはどうなんでしょうね…。大抵は成功に到達している気もします。
しかし失敗からのスタートで成功に到達するとしても、道中がいばらの道なんですよね。心が削られるんです。毎回毎回じぶんのダメさ加減をかみしめさせられるのはなかなかにしんどいです。
5年前は本当に大騒ぎしました。絶望感が凄すぎて。今は「こんなもんだ」と悟りの境地に達しているので騒ぐことは無いです。
どうしてもだめな時は「時間をおいてから挑戦しよう」という結論にして区切りをつけています。あまりにも集中すると飯も食べずに作業を続けてしまいますから。しかも同じ手順でグルグルと繰り返して。絶対に失敗するのに同じように繰り返します。
同じことを何度も繰り返すのは「短期記憶障害」が発動しているからです。疲れるとこの障害の影響をもろに受け始めます。こうなると絶対に目的を達成できません。
今までの経験から、意地を張って無理やり乗り越えようとすればするほど失敗の確率が上がることが分かっています。成功するのはごくごく稀です。効率悪すぎなので完全に辞めて時間をおいたほうがメリットが大きいです。
このメリットがあってもアクセルを踏んでしまう原因は「あせり」の気持ちなんでしょうね。あせりを克服できれば成功する確率は高まりますね。経験から理解しました。

自分の障害への知識を蓄える

高次脳機能障害のリハビリのゴールは「自覚」です。自覚は自分の障害を認識して対策の知識をもつことだと思いますが、それだけではないようです。
さらに必要なのは
「自分の障害が現在進行形で発動していると、第三者目線で気が付く能力」
ではないでしょうか。
この力が備えられることで「障害自覚」に近づいていき、
「障害の自覚」があるから「障害の対策」ができて、
「障害の対策」ができるから「困り事が減る」
のだと思います。
マズローの欲求階層説に自分の経験を当てはめるとこうなるのではないでしょうか?

マズローの欲求階層自分の経験説明
自己実現の欲求自信がつく個人の能力を最大限に発揮し、自信を持って生きることを目指す。
尊重の欲求認められたいと思える個人の成果や能力が認められ、尊重されることを望む。
社会的欲求求社会生活ができる
何かに所属したいと思う
行動の欲求が産まれる
愛され、受け入れられること、そしてコミュニティやグループに属することを望む。
安全の欲求困り事が減る
対策が打てる
自覚できる
気が付ける
安全で予測可能な環境を求め、問題に対処する能力を持つこと。
生理的欲求基本的な身体的ニーズ:空腹、渇き、睡眠など。

最近は「自信がついた」状況と「自信を失った」で、感情が両極端に揺さぶられることが多いです。
成功して自信を持つ。今までに出来なかったことができるようになって自信を持つ。その一方で当たり前に出来ていたことが辛かったり、新しい記憶と古い記憶がごちゃ混ぜになったりして失敗すると自信喪失。何度も繰り返しています。
私は今「自己実現の欲求」を満たすために、のたうち回っているのかもしれません。なかなかにこれがまた苦しいです。あれこれやっては挫折しまくりです。
無理をし過ぎると二次障害を起こすかもしれません。今は片足を突っ込んでいます。心が壊れてしまったら立ち直るのにまた何年もかかるでしょう。それは避けたい。
だから無理のない範囲で挑戦しなければならない。焦りは禁物です。ゆっくりと自分のできる範囲で… が正解なんだと思いますが…
あせります。絶対焦りますよ。だって元の世界に戻りたいですから。元の世界の自分は色々と何でもできていたのです。だからお仕事も沢山ありました。
今は無償労働。もしくはとてもお安いお賃金の毎日なんです。
抜け出したいなぁ。この井戸の底から。