高次脳機能障害者のためのメモ取りノウハウ|実例とツール紹介

高次脳機能障害を持つ方々にとって、メモ取りは情報の整理や記憶の補助に非常に役立ちます。特に日常生活や仕事の場面で、メモ取りが欠かせない理由を説明します。

メモを取ることで、忘れがちな情報を記録し、後から見返すことができるため、生活や仕事の質を向上させることができます。具体的な影響としては、日々のタスク管理や重要な会議の内容を漏れなく記録することが挙げられます。

メモを取る際のポイント

メモを取る際には、以下のポイントを押さえると効果的です。

メモ取っていますか?私は相変わらずメモ魔です。このブログでも何度か自分がメモをどの様にとり、どのように運用しているかをたびたび紹介してきました。

私がメモを執拗に取るようになったのは、インフルエンザ脳症を発症して救急搬送された日からです。認知機能が滅茶苦茶になっていた為当時は意味不明なメモを取っていました。

あれから5年と半年が過ぎました。

私の高次脳機能障害。記憶と注意の障害は結構ヘビーな方だと思います。それは少し前にあった当事者の集まりでも認識しています。私はかなり重症な部類でした。

そんな状況にもかかわらず、システム開発の仕事を続けていられるのは、メモを取りまくっているのが大きいと思います。日常生活から仕事まですべてをメモし続けてきました。

今までの間、メモの工夫を散々凝らしてきました。メモの取り方、管理の仕方はどんどんと進化していきました。

千葉リハでは「メモリーノート」の使い方を習いましたが、結局は使っていません。メモリーノートの使い方を習う前に独自の工夫でメモをとる習慣がついていたからです。メモリーノートの説明は受けましたが「うーん。いまさら…それ?」といった印象もありましたし。

というわけで自分で考えて工夫して改善してきたメモ。もちろん障害の状況によってやり方は変わります。また私は元々ITツールを使うのが好きという特性もあります。そのためあうあわないはあると思いますが、現時点の自分的には非常に気に入っているメモの取り方。メモの管理の仕方が固まってきたので記事にしたいと思います。

メモは取るよりも再利用を重要視する

私、障害になって今まで毎日欠かさずメモと共に生きてきて感じたことがあります。それは

「メモを再利用するのは非常に難しい」ということです。

メモを書くのは誰でも出来ます。それこそ搬送されてこの先どうなるのかわからない。「一生寝たきりになるかもしれない。」と言われていた私ですらメモを取れていたのですから。

でもその書いたメモを活用するのは非常に難易度が高いのです。大抵は書いて終わりです。使えないのです。だってどこに何が書いてあるかわからないから。

メモを取り続けて悟りました。メモはアナログでインプット(手書き)が一番早くて簡単です。でもアナログでインプットしたメモは時間の経過とともに再利用が困難になります。ましてや私は記憶障害ですからメモをしたことを忘れます。だから何度も同じメモを取ってしまう。そして最新のメモがどれか判別つかなくなって混乱するのです。

再利用を意識しないメモはメモとして使えない。それが私がたどり着いた結論です。

理想的なメモの形とは?

メモはデジタル化して保管するのが最強です。入力はアナログの手書きが最強ですが、管理と再利用はデジタルが最強です。つまりどこかでアナログのメモをデジタルのメモに変換して管理する必要があります。

もちろん最初からデジタルで入力出来れば話は早いです。でもメモは咄嗟に取ることも多いです。突然電話が掛かってきたり、出先で打ち合わせをしたり…いちいちデジタルデバイスを開いて、アプリを開いて、書き込むページを選択して…は時間がかかります。 目の前にある紙とペンでさくっとかける紙は最強です。

でもそれでは紙がたまる一方で後からで使いにくい。どこかでデジタルのデータに変換する行為が必要なのです。デジタルデータなら探して取り出すのが非常に早いですから。

【入力はアナログ。管理と出力はデジタル。】

この形が今の私にとって最強のメモの形なのです。

メモのアナログとデジタルの融合はどうすれば実現できる?

この図を見てください。これが今まさに私が実践しているメモの流れです。

↓↓↓

この画像では、私が使っているメモの手段と流れを図にしています。白背景は手段。青背景は動作を表しています。

アナログデータとデジタルデータの管理

説明します。まず大きく「アナログデータ」と「デジタルデータ」の二つの領域があります。これは大元のメモの形を表しています。つまり「アナログデータ」とは「裏紙」です。「デジタルデータ」は「PCやスマホ」で入力したメモです。

デジタルデータは色々な種類があります。メモだけではなくダウンロードしたPDF。EXCELで作った資料などもあります。これらはすべてMicrosoftのONENOTEに出力です。コピペで張り付けても良いし、各アプリから印刷先をONENOTEにして印刷すればOKです。こうすることでデジタルデータは全てONENOTEに格納できます。

EXCELはEXCEL方眼紙で作った資料をONENOTEへ印刷でもよいですし、印刷せずに保存したファイルのリンクをONENOTEに貼り付けても良いです。ONENOTEに記載したリンクをクリックする事で直接EXCELファイルを開けます。結構便利ですよ!

問題のアナログデータはスキャナーでスキャンします。スキャンしてPDFに纏めてしまいまいます。これで一気に部屋中に散乱している裏紙を駆逐できます。

OCR機能付きのスキャナーを使うと検索可能なPDFが作れます。ただし手書きを検索するのはちょっと無理があるようですが。それでも印刷文字ならかなりの精度で文字を検索できるので非常にありがたいですよ。

PDFはPDFで保管しますが、ONENOTEへ印刷するとデジタル情報、アナログ情報をすべてまとめて一つのONENOTEで管理できるので非常に便利です。

私は千葉リハでの診察記録や、障碍者就労移行支援の打ち合わせなども、貰った資料、手書きのメモ、をONENOTEで管理しています。今まではスマホのカメラで撮影してONENOTEに張り付けていましたが、スキャナーを購入して以来はとにかくスキャンしまくっています。正確ですし速いし綺麗だし検索もできるし。いいとこづくめです。

情報の確認はどのハードからでも可能にしてあります。pdfはMicrosoftのonedriveに保管しているのでどこからでも確認可能です。またonenoteはandoroid、windows、ipadosとどれでも動作可能なメモアプリです。しかも無料だし自由度が高い。非常に気に入っており長く使い続けています。

まとめ

「メモはいかに再利用しやすくするか」

記憶障害ゆえにメモの活用には散々考えさせられてきました。毎回「これがベストだ!」と実践してきました。

最初の頃は付箋の密林に埋もれていました。手当たり次第に何でもかんでも記録していたために、必要な時に必要なメモが取り出せない状況が続きました。

特に電話時など即答が必要な状況でメモが見当たらないと焦ります。焦ってパニックになると支離滅裂な事を言ったりしていました。脳から情報を正確に引き出せなくなってしまうのです。

今は【裏紙+スキャナー+ONENOTE】この組み合わせにたどり着いたおかげで、情報の取り出しで困ることが減りました。

【インプットは手書き。管理とアウトプットはデジタル】

これが記憶障害+注意障害+遂行機能障害な私の5年と6カ月目の現状です。