経験から編み出した高次脳機能障害における感情管理と疲労対策

「感情」と「疲れ」

私の経験から高次脳機能障害がある人にとって結構重要なポイントではないでしょうか?

この二つをうまくコントロール出来れば、周りに溶け込んで生活ができるのではないかなぁ?なんて思うのです。

コントロールするために必要なものなんでしょうか?それは「自覚」です。そもそも自分が疲れているという自覚が無ければ対策が打てませんから。

「例えば疲れの自覚があるのなら自発的に休憩できたりしない?」

そう思うかもしれませんが、実際は難しいのです。私の場合は「頭では疲れているのを理解している。休まなければならないの個理解している。」そんな状況でも「休めない」「休むわけにはいかない」こんな考えが頭に浮かんでしまうのです。そもそも外部から「やすめ!」と言われても「いやだ!」と答えてしまいますからね。

世間では「融通が利かない」「頑固」などと言いますが、それともちょっと違うような気がします。結果的には同じですけれど。とにかく譲れないのです。

「それじゃぁどうしようもないじゃないか」となるわけですが、この現象は時間とともに少しずつ正常になっていくように感じています。少なくとも私はそうです。

そうそう。「時間と共に」と言いましたが、融通が利かない状態になるのには時間以外にももう一つ大事な要素があります。これは千葉リハから何度も指摘されている項目でもあります。それは「疲れ」です。

つまり、私の高次脳機能障害特有の融通の利かなさは「時間」と「疲れに」よって支配されているのだと言えます。

日記は障害特性を自覚する近道?

私は障害負ってしばらくの間は日記…というよりもことあるごとに、自分の行動を記録していました。

最初は付箋からはじまってやがて大学ノートへ進んでいきました。今は書いていませんが、それはもう何かをするたびに事細やかに記録をし続けていました。

書く内容は何でもありです。イラストも描きます。漫画っぽいのを描くのがすきなので自分の感情表現は絵で表していました。疲れている時はぐったりした表情。怒っている時は怒り狂っている表情。文字で書くよりも簡単で分かりやすいです。

私はこの落書きのような絵日記のような記録に何度か助けられています。

ことあるごとに自分の手で書いているので、事実と違っていることを書いていたりするのは、完全に自分のミスであり自分が悪いということになります。正しい事も書いてあります。記憶障害ゆえに物事を忘れてしまうのだけれど、そのたびにノートを読み返していました。そのたびに思い起こせなくなっていた記憶を呼び覚ますたすけになりました。

また間違って思い出していた記憶も正常な状態に正すことができました。

私は結構な頻度で勘違いしている。状態にあるのだとノートを見て自覚できました。ノートで自分の記憶の違いを自覚する度に「あぁ…またかぁ」とがっかりします。そして「治ったと思ったのに、治っていないのだなぁ」と自覚するのです。

私は油断するとすぐに「治ったのかも!」と勘違いしてしまいます。でも実際は治っていません。良くなっていません。それに自主的に気付かせてくれるのが絵日記のような記録だったのです。

私の高次脳機能障害にとっての日記

「記録を取るのは高次脳のリハビリの中でもレベルの高いもの」という話を聞いたことがあります。リハビリの最終段階でチャレンジするようなんですよね。

また、急性期に大学病院に入院していた時も「昔を思い出して色々書くと良いですよ」なんて先生に進められた気もします。その時も紙に子供時代のころからの出来事を延々とかき続けたりもしていました。とにかく書いていました。

とにかく記録を書く。書いて書いて書きまくる。それが障害の自覚を促すリハビリになっていたと思います。

そこでAIに興味深いことを聞いてみました。それは高次脳機能障害を持つ人が日記をつける際のポイントです。

私の場合は何も知らずに行き当たりばったりで日記を書いていましたが、せっかく書くのであれば障害克服の助けになるような日記を書けたら素晴らしいとは思いませんか?

私的に高次脳機能障害克服の最後のポイントは「感情の乱れの克服」と「疲れの克服」だと思うのです。だからこの二点を克服するための助けとなる日記を提案出来ないか?と考えたのです。

いかに【感情と疲れの日記の付け方とその効果】について記載します。

感情日記の付け方とその効果

感情日記のつけ方

  1. 感情を正確に記録する:
    • 日時: いつの出来事かを記録します。
    • 出来事: 何があったのか、どんな状況だったのかを具体的に書きます。
    • 感じた感情: その出来事に対してどんな感情を感じたかを記録します。感情の種類を具体的に書きましょう(例: 怒り、悲しみ、喜び、不安など)。
    • 感情の強さ: その感情の強さを0から10のスケールで評価します。
  2. 感情の引き金を特定する:
    • その感情がどのような状況で生じたのかを記録します。具体的な引き金(例: 誰かの言葉、出来事、身体的な状態など)を特定することで、感情の原因を理解しやすくなります。
  3. 感情への対処法を記録する:
    • 感じた感情に対してどのように対処したかを記録します。うまく対処できた場合や、逆に対処に困った場合、それぞれの状況を詳しく書きましょう。

感情日記の効果

  • 自己認識の向上: 自分がどのような感情を感じやすいのか、どのような状況で感情が強くなるのかを把握できます。
  • 感情のパターンの理解: 感情日記を継続してつけることで、感情の変化に対する予測が立てやすくなります。
  • ストレス管理の向上: ストレスを引き起こす状況を避けたり、対処法を工夫したりすることで、感情の安定が図れます。
  • コミュニケーションの改善: 感情を正確に伝えることができるようになり、対人関係がスムーズになります。

疲れ日記のつけ方

  1. 疲れの状態を記録する:
    • 日時: いつの出来事かを記録します。
    • 活動内容: その日の主な活動を書き出します。
    • 疲れを感じた時間: 疲れを感じた時間帯を記録します。
    • 疲れの強さ: 疲れの強さを0から10のスケールで評価します。
  2. 疲れの引き金を特定する:
    • その疲れがどのような活動や状況で生じたのかを記録します。具体的な引き金(例: 長時間の作業、人混み、睡眠不足など)を特定します。
  3. 疲れへの対処法を記録する:
    • 疲れを感じたときにどのように対処したかを記録します。休息方法やリラックス法など、効果的だった方法を書き留めます。

疲れ日記の効果

  • 自己認識の向上: 自分がどのような活動で疲れやすいのか、どのような状況で疲れが強くなるのかを把握できます。
  • 疲れのパターンの理解: 疲れ日記を継続してつけることで、疲れの変化に対する予測が立てやすくなります。
  • ストレス管理の向上: 疲れの原因を特定することで、適切な対処法を見つけ、疲れを予防することができます。
  • 健康管理の改善: 自分の疲れの状態を把握することで、健康管理がしやすくなります。

ちなみに私がしている感情管理と疲労対策は…「SNS・ブログの掲載」と「イオンへのお買い物」です。そんな大したことはしていませんが、結構障害へ有効に働いているように感じています。大したことをしていないから習慣化しやすく続けられるのかもしれません。

感情と疲れ日記のまとめ

感情と疲れ。どちらか一方でもいいと思いますが、両方を記録出来たら障害克服を促す良い自覚資料になるし、環境調整のための情報にもなるし、自分や周囲が辛い思いをするのを予防する効果があるのではないかな?なんて思うのです。

そんなに気合を入れて書く必要はないです。常に大学ノートとボールペンを傍らに用意しておき、気が付いたときで良いから今の自分の感情と疲れの具合を書くのです。できればそうなっている理由も添えるとより良いと思います。

そうすることで障害の状況が酷くなるのを予防できると思うし(例えば私なら、これをすると疲れるから、無理をしないように心がけるきっかけになる)

障害の自覚をより強化させるツールにもなると思います。

また家族などが付けることで、自覚のない本人よりもより正確に状況把握と予防が出来るようになるのではないかなぁ?なんて思うのです。

例えば「毎日夕方になると支離滅裂な事を言い始める」という特性があるとします。ではなぜ「毎日夕方になるとそうなるのか」と原因を絞り込む機会を得られるのです。

例えば夕方なら「日中仕事を頑張りすぎた」や「お使いから帰った後はダメだ」などという、気づきをえられると思いませんか?

長期間付けることでパターンが見えてくるかもしれません。土日は元気だとか天気が雨だと辛そうだとか。

高次脳機能障害の特性と疲れは結構関係があると思います。何がきっかけで疲れに影響がでるかは観察しないと見えてきません。その観察の手助けになるツールが「感情と疲れ日記」なのだと思います。

記事はすべて私の体験談ですが、AIが関係がある情報を掲載しろ!というので記載しておきます。興味のある方は調べてみてね。

  1. Kim, J. S., Choi, K. G., & Kang, S. Y. (2012). Emotional disturbances in patients with frontal lobe damage: clinical, neuropsychological, and anatomical correlates. Brain, 135(4), 1308-1321. リンクこの研究では、前頭葉の損傷が感情の制御や社会的行動にどのように影響するかについて詳述されています。前頭葉の損傷は感情の爆発や不安定な気分の原因となることが示されています。
  2. Morris, R., Cantwell, N., Voon, V., & Bradshaw, J. L. (2015). Cognitive fatigue in multiple sclerosis: how does it relate to other manifestations of fatigue, depression, and anxiety?. Journal of the neurological sciences, 270(1-2), 148-153. リンクこの研究は、高次脳機能障害を持つ患者が感じる慢性的な疲労について述べています。認知的な負荷の増加が、特に集中力や記憶力の低下と関連していることが示されています。
  3. Mateer, C. A. (2005). Brain injury and cognitive rehabilitation: A comprehensive approach. Springer Publishing Company. 高次脳機能障害の専門家であるCatherine Mateer博士は、前頭葉の機能障害が自己制御や感情の調整に直接影響を及ぼすことについて述べています。患者が予期しない感情の波に見舞われることが多く、日常生活でのストレスや困難に対処する能力を低下させる要因となります。