運転は完全復帰|高次脳機能障害の壁をまた乗り越えた

運転は完全復帰|高次脳機能障害の壁をまた乗り越えた

2019年にインフルエンザ脳症で高次脳機能障害になってから4年と2か月経過です。
ついに運転が完全復活。病前の自分と同等レベルに回復したなぁ。と自信を持てるようになりました。
なぜかというと、経路が難しくて1度しか行ったことのない土地へ言ってくることができたからです。やったーー!
このような厳しい条件の元で、ドライブをしてきましたよ!

  • 全く不慣れ。というよりほぼ未経験の道。
  • 片道4時間の運転時間。
  • 首都高を通る。
  • 事前の経路選定が必要。
  • 渋滞しがちでコース変更もあり得る。
  • だから複数のコースを考慮する必要がある。
  • 休憩ポイントはコンビニのみ

たぶんドライブ好きな人や職業ドライバーな人じゃないと、やらないようなことだと思います。
全く知らない土地への運転なんて。経路を考えるだけでも大変ですよね。
病前の私は知らない土地へのドライブが大好きでした。病気をして脳に障害を負って運転禁止になったときは「もうどこにも行けないのか…」と本当にがっかりしたものです。
それでも食らいつきました。運転再開できる確率は5%なんて言われたこともあります。易疲労の問題で運転再開が半年延期になったこともあります。辛かったです。
それももう終わり。残す課題は宮城の実家までの帰省ぐらいです。あそこは遠すぎるので途中で一泊しても構いませんし、道路的にはとてもやさしいです。だからそれほど問題には考えていません。
私にとって最大級に難しいのは昨日のドライブでした。
どんな道を通ったのかを紹介します。

往復8時間の連続運転練習のコース


今回の運転練習の課題は長距離運転です。
しかも首都圏を突破するというもの。首都高も通ります。
首都高の中でもC1は、健常者時代の私が病気をする直前に練習で走った事のある程度なんですよね。走るのがとても難しいです。障害が無いとしても出来れば避けたい道。
でも、走らなければならない道ががあります。そこを最小限に抑えつつ静岡県まで行ってきました。
運転時間は片道4時間30分かかりました。東名高速道路を走りましたよ。渋滞にも何度もつかまりました。
トイレ休憩はそれぞれ1回ずつ挟みました。ということはだいたい2時間ごとに休憩をはさんだ事になるかな?
「2時間運転をしたら必ず休憩を入れる」
これは私が健常者時代に長距離運転する際に決めていたマイルールです。身体がこのルールに慣れているのか2時間たつと自然と休憩を入れたくなります。
今回は行き帰り共にEXPASA海老名で休憩をしました。ここは本当に大きいですね!そして新しい。立派な所でした。

長距離ドライブの醍醐味!お昼は何を食べた?

お昼はコンビニのおにぎりを2個食べました。
「ここまで遠出をして来たのだから、お昼は美味しいものを…。」と普通の人は思うかもしれませんが、私は普通ではないのでドライブをした時はいつもコンビニのおにぎりです。地元グルメなどとは縁がありません。お金がないので高速代とガソリン代で精一杯です。
片道4時間30分運転をした後に、コンビニでお昼を食べて休憩。
そして再び片道4時間30分をかけて帰宅しました。
人によっては「苦行」にしか見えないかもしれません。が、私は違います。運転をしている。ただそれだけで幸せなのです。疲れが出なければもっともっと運転していたいですよ!ゴールに向けて一人黙々と運転し続けるのって最高です。最高のストレス解消です。渋滞もまた楽しいですよ!

長時間運転をして疲れはどうなった?

運転に関する私の最大の課題は「疲れ」です。疲れると注意力が落ちます。そこが危ない。
千葉リハで何度も心理検査を受けて、何度も延期になった理由がそこです。運転再開が決まっても条件付きになった理由も疲れだったんですよ。
確かに運転再開初日は数百メートルを運転しただけでグッタリして寝込んだほどでしたから。初めて免許取得をしたころのようでした。あの時も超グッタリして寝込んだんですよ。
それが、疲れない!運転中は全く疲れを感じませんでした。
でも…ご飯を食べた後に来ました。「がくうううううううん!」と。突然体内の電源がOFFになったかのように、一気に体がだるくなりました。鉛を背負っているかのよう。
意識ははっきりとしていまがが身体が幸かったです。
その時の私は「疲れを自覚している」状態でした。これも大変良い。障害が酷いころは「自分が疲れていることが分からない」という状態でしたから。
疲れを自覚できない人間が、疲れる行動をとり続けるとどうなるか知っていますか?
どんどん支離滅裂になっていくのです。そして感情が大爆発します。なぜかというと疲れて支離滅裂なのに、その支離滅裂になる作業を止められなくなるからです。どう考えても不可能なんですよ。でも「やらなければならない」という鎖が心に絡まって抜け出せなくなります。
その結果、破綻して爆発するのです。その瞬間の私は何も失うものが無いどん底の状態です。私の周りにいる人たちは怖かったと思います。
しかし、高次脳機能障害が回復して、自分の障害を自覚できるようになると、違ってきます。疲れを自覚できるのです。
すると無理をしなくなります。無理をしたとしても「常識の範囲内での無理」です。かならず抑制のブレーキが作動します。
高次脳機能障害で抑制が効かない状況を体験している自分には、はっきりとわかります。抑制が効かないというのがどういうことなのかを。
健常者が無理をしているのと、高次脳機能障害者が抑制が効かなくなっているのとは全く違います。後者はほおっておくとそのまま倒れます。再起不能になります。一生寝たきりの生活が待っています。それでも続けようとするのです。

  • 健常者が無理をすると周りが心配します。
  • 障害を持つ私が無理をすると恐怖します。自滅するのが目に見えてい分かるからです。

長距離運転の負担軽減は車の性能にも助けられている

私の車はスバルのWRX-S4と言います。ドライブだ好きだった私が健常者時代に購入して乗り続けている車です。
スバルと言えば「アイサイト」が有名です。「ぶつからない車」ってCM流していましたよね。
アイサイトがあると本当に運転が楽なります。基本的にハンドルを握っているだけで良い状態になりますから。レーンを程よくキープしてくれます。
そして自動ブレーキ。あれもかなりいい。高速で急ブレーキをかける車がいます。疲れるとどうしても反応が遅れるのですが、前走車の急ブレーキにも対応してくるので本当に助かります。
振動はないし、ぶれないし、安定しているし、まっすぐ走るし、加速はいいし、高速道路は超安定。ブレーキは想定通りに聞くし、きっちり止まるし、でもカックンにはならないし… かなり運転がしやすい車です。
私が静岡まで日帰りで来たのは今の車の性能のおかげなのもあるでしょう。他の車だったら疲れ果て一泊必要になるかもしれません。

宣伝ぽくなってしまいましたが事実なのでしっかりと書いておきます。
運転で疲れやすい人はスバルのWRXS4は超おすすめです。滅茶苦茶安全で、運転しやすいです。

高次脳機能障害を乗り越えた証を立てよう。次の目標は?

脳を犯されて救急搬送されて、メモ用紙にたった1行の言葉を書くことすらまともに出来なかった私。
「また運転をしたい」
そう大学病院で主治医に話したそうです。記憶障害が最もひどかった頃なので記憶には全くありません。でも分かります。今の自分でも同じことを言ったことでしょう。

  • 入院中は漫画本の1ページ目が読めませんでした。とんでもないめまいに襲われました。
  • 退院後は仕事が再開できませんでした。
  • 記憶障害の地獄をさんざんに味わいました。
  • 運転再開を夢見てイオンへお使いと散歩の毎日でした。
  • 千葉リハまで一人で行けませんでした。
  • 自分の障害を理解するまでに1年が必要でした。
  • 運転再開は2年後。
  • 運転再開後に数百メートルを走って寝込みました。
  • 千葉リハから指示された運転条件はきっちり守り抜きました。
  • やがて運転条件が外され自由となりました。
  • 少しずつ運転距離を伸ばしました
  • ついに静岡まで。1日に9時間運転を達成しました。

安全に。確実に。ゆっくりと。
一つ一つ課題をこなして5年目突入です。
次は最終目標。
宮城の実家まで運転をして帰省をする。
です。
ゴールまで確実に進みます。