当たり前に出来ていた事なのに…なぜ出来ない?遂行機能障害を振り返る

当たり前に出来ていた事なのに…なぜ出来ない?遂行機能障害を振り返る

去年は夕方になるとイオンへ散歩に出かけていました。毎日です。最初の頃は純粋に散歩するだけでしたが、脳がだんだん働くようになるにつれて「おつかい」を頼まれるようになりました。
退院後3か月ぐらいは、イオンへのお使いもまともにできないような状態でした。そもそも音と光を浴びただけでグッタリしてへたり込む状況でしたから。
しかし、刺激への耐久力が上がってくると同時にできることが増えていったんですよね。
でも失敗もしました。牛乳を頼まれたのに卵を買ってくる。そんなミスをやらかしたりしていました。これって遂行機能障害の影響なのだと思います。
遂行機能って、高次脳の最上位の機能です。下で支える記憶力や注意力が整っていないと遂行機能って働かないんですよね。
1年前は注意力も記憶力もメタメタでしたから、遂行機能もメタメタです。お使いが出来ないもの仕方がないのです。
今日は、この遂行機能について自分のお買い物の失敗の事例をもとにしながらまとめてみたいと思います。
「こんなこともできないのかよ!」「たかがこんなことが失敗の原因になるの?」「こう接するといいのかな?」
こんな事を考えるきっかけになるんじゃないかな?と思います。

遂行機能障害の実例!イオンで牛乳を買えない

今までも何度もイオンでのお使いの失敗を例に挙げてきましたが、原因ってもしかして刷り込みがあったのかなぁ?なんて思っています。
どういうことなのかというと、高次脳機能障害になると「頭の中の情報を書き換えられなくなる。」こんな症状が出るみたいなんです。良く妻に指摘されています。
こんな出来事がありました。

  • 妻「イオンでお買い物をしてきて。」
  • 私「わかったお買い物をしてくるよ。」
  • 子供「弁当を買ってきて!」
  • 妻「余計なことを言うんじゃないの!(怒 買ってくるのは牛乳よ!」
  • 私「わかったイオンで牛乳を買ってくるよ。」

ちょっと極端に誇張していますが、上のような出来事があったんですよね。こうなると私、何が正しい情報なのかが分からなくなってしまうんです。
正解は「牛乳を買う」です。わかっています。家を出るときは「牛乳を買う」となっています。当然です。
でもね。てくてく20分ほど歩いてイオンに到着して、「さぁ買うぞ」となった時にこうなるんですよ。
「なんの弁当を買おうかな。」
退院して間もないころはこの手の失敗をしていました。でも学習機能が働いたようで「わからなくなったら電話で確認する」が出来るようになりましたが…。
「メモを書けばいいじゃない?」
と思うかもしれませんが、その肝心なメモをどこにしまったのかを忘れてしまうような状態です。メモはあまりあてになりませんでした。
それどころか、前日に使ったメモを次の日に確認して、2日続けて同じものを買うような有様ですよ。
イオンへのお使いは、大変な脳機能を使うのだなぁって思います。

遂行機能障害で失敗を繰り返したらこうなった

私、この手の失敗をよくしました。
だけど「失敗は挑戦した結果だ。勇気のしるしだ。」「負けてたまるか!」このように前向きに考えて、自分を励ましながら早く元の状態に戻れるように頑張りつづけました。
その結果…
「自分は本当にダメになったんだな…」
今思えばお使いは難易度が高かったのでしょうか?失敗を繰り返すたびに、どんどん自分から「きっと元に戻れるはず!」という立ち向かっていく気持ちの原動力が無くなっていきました。
数か月前までは全く意識せずに、当たり前のように出来ていたこと。それが出来ない。失敗する。失敗を繰り返す。
「昔の自分は良かったな…」
「なぜこんなことになってしまったんだろうな…」
後ろ向きなことばかりを考えるようになっていました。

こうして遂行機能障害の壁を乗り越えた

失敗を繰り返した今、思うこと。
【遂行機能障害は失敗したときにどうやって乗り越えるか】がすごく大事なんじゃないかな?と感じています。(どの障害も同じかもしれませんが)
障害だからゴールにたどり着けないんですよね。だからといって「あぁ失敗したな。障害だもんな。仕方がないな。」で、終わりにしちゃだめだと思います。
なぜ失敗したのか?原因を追究する。なぜ?なぜ?なぜ?と5回自分に質問する。
その質問から得た原因が失敗の本当の理由。その理由をカバーするにはどうすればいいのか工夫を考える。
工夫を考えたら実践してみる。成功したら良し!失敗したらまたなぜ?なぜ?と5回自分に質問する。
これを繰り返して出来なかったことを出来るようにする。それが障害の克服(ここでは遂行機能障害の克服)なのではないかなぁ?って考えています。

遂行機能障害を乗り越える手順
私は、遂行機能障害のために失敗をよくしました。でも最初は失敗にすら気づけないんですよね。だから失敗に気付くのが、障害克服の第一歩だと思います。
で、失敗に気づけるようになったら、目指すゴールとの差を知る。何ができなくてゴールにたどり着けないのかを理解するわけですね。
出来ない理由が分かったら(仮説でも構いません)、どうすればフォローできるかを考えます。
そしてフォローの実践です。挑戦です!
挑戦してもうまくいかなかった…また仮説を立てます。なにが悪かったのでしょうか…?そしてまたフォローを考える。
成功するまで何度でも繰り返す。
ちなみに買い物の失敗からは次の対策を取るようにしました。

  • 買い物メモは必ず取る
  • 買い物メモを持ち歩くポケットを同じにする。

たったこれだけですが、買い物の失敗は無くなりました。
もしかすると「買い物の失敗をしたから対策をした。」という行動の記憶が残ったのも良い方向に作用したかもしれません。

私は上のようなやり方を繰り返して1年半やってきました。今ではほぼ不便が無くなった感じです。つまり遂行機能障害がほぼなくなった。そんな感じです。
もちろんたまに失敗することもあります。まぁあまり気にしていません。健常者でも失敗はありますし!

もう遂行機能障害じゃないよなぁって思っています

「遂行機能障害」というキーワードで検索してみたら、こんなサイトがでてきました【交通事故サポートセンター高次脳機能障害のすべて】
ここでは遂行機能障害の定義が掲載されています。こんな症状があるようです。

  • 計画性が無い
  • 要領が悪い
  • 融通が利かない
  • 判断ができない

このサイトでの遂行機能障害の定義と私の現状を照らし合わせると…

計画性が無い

一応EXCELで日々のスケジュールを決めて行動していますが…
トラブルが起きた時に弱さが強く出てしまうようです。
例えば「この仕事を完了させないと、ダメになったと判断される。だから倒れるとしてもやるんだ!」こういう感じで出ました。
でも、今はどうかな。記憶力が戻ったおかげでトラブルへの対応も強くなりました。
計画性なく突っ走ることは無くなったと思っています。

要領が悪い

記憶障害が酷かった時は、本当に要領のヨの字もありませんでした。
私って要領よく仕事を進めて、労働時間をどんどん短縮するのが得意でした。それが一切できなくなりました。記憶障害の影響で。だって仕事中に自分がやっている仕事を忘れてしまうんですよ…。
でも、今はそれも無くなり昔の要領の良さが戻ってきている気がします。

融通が利かない

正直これはわかりません。もともと「融通が利かない。頑固だ。」と言われていましたから。
救急搬送された当日にブログのネタを集め始めてしまうほどの頑固者です。「絶対インフルエンザ脳症のブログを作るんだ!」って決めていました。
「まぁこれはいいかぁ」って思っています。これが私です。そもそも困っていませんし。

判断ができない

これはよくわかります!
記憶障害の影響でメンタルがズタボロにやられて自信が無くなってしまいました。
自信が無くなると決断ができなくなるんです。一人で物事を決められない。判断できない。
厳密には「判断してはダメなんだ」こんな感じになっています。
判断するのがとても怖いですl。
以前の私は自信満ち溢れていました。「私の判断が正しい!」この考え方が基本でしたから。
それが今では
「失敗が怖くて決められない。」になっています。
怖い理由は自分に自信を持てないから。自信を持てない理由は障害でとことん失敗を繰り返したから。障害をざっくりいうと「ものすごい勘違いをするようになった」。だから常に自分を疑っている。自分を信用できない。自分を信用できない人間が自信を持てるわけなんてない。こんな負のスパイラルに陥っています。

自分の障害を振り返ってみた感想

こうして文章にまとめてみると自分の状況が良くわかります。
私の今の最大の障害は「自分に自信が持てない」ですね。さんざん失敗を繰り返しましたから。
もしかして2次障害ってやつなのかなぁ?なんて思います。でもさんざん失敗を繰り返したということは、さんざん挑戦し続けてきた証でもあると思います。
失敗するから対策を考える。対策を繰り返したから困りごとが無くなった。困りごとが無くなれば障害は無いと考えています。
記憶障害と注意障害は今は気にしていません。困っていませんから。治らないから障害と言われていますが…「いや、治ったよね?」って感じています。この部分は回復に満足しています。
まぁたまに間抜けなことをする時がありますが…。気にしない事にしています。
最後の壁の自信回復をどう乗り切るかだけです。
以前のように自分に自信を持てるようになりたいです!