今朝のニュース番組で笑点の三遊亭円楽さんがテレビで報道されていました。
「高座に復帰した」って言われていたけれど、「うわぁ、凄すぎ!」ってびっくりしましたよ。
入院したのが1月25日でしょ?で、今日は8月12日ですよ。まだ半年とちょっとしか経過していない。
「いや、ムリじゃない?ムリがありすぎるでしょ?」って思いました。
私はその頃は、千葉リハでリハビリ中でした。丁度昨日、この記事に書いたような高次脳機能障害特有の異常な体験をしまくっていたころですね。
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高次脳機能障害の診察で経験した困り事たち
病識があるつもりだったのに全く病識が無く、まともに行動しているはずなのにダメダメ。そんな時期でしたね。
確か記憶障害があると報道されていました。
と言うことは、遂行機能障害もあります。そしてこの短期間と脳の病気をしていることから、めっちゃくちゃ疲れやすい状況なのではないでしょうかねぇ?易疲労と言うやつです。
見栄を張るというか、「あいつはダメになった」と思われないようにするためにも、相当のプ列車の中で気合を入れて望んだと思います。それだけ脳に負担が罹っていると思います。
舞台裏ではゲーゲー吐いていたんじゃないかなぁ?(勝手な想像です)
そして挨拶をして高座から降りた後も心配です。グッタリ疲れ果てて寝込んでしまってはないだろうか?年齢が年齢だけにとても心配です。高次脳なら易疲労は絶対ついて回ると思うんですよ。
あまり無理をすると障害が悪い方向に進んでしまうかもしれません。
それこそ失敗でもしてしまったら…二次障害が恐ろしいです。
非常に狭い私の経験の範囲からすると「三遊亭円楽さんの高座での挨拶はあり得ない」という感想しかありません。ヤバ過ぎ。身体大丈夫かなぁ…。
でも、無理をしてでも高座に上がりたい。元の世界に戻りたい。その気持ちは本当にすごく分かります。私もそうでしたから。
もうね、「病前にいた場所にまた戻る」って病気や障害と闘う上での強いモチベーションになると思いますよ。
「絶対に元に戻りたい。そして病前と遜色なく活躍できると周知したい。自分は復活したのだ。障害なんて関係ない。」
きっとこんな前向きな気持ちで心が一杯かもしれません。
円楽さんはきっと舞台に戻ると思います。再び元居た場所で落語をされるでしょう。プロですしね!
でもそのとき何が起こるかは分かりません。その瞬間がきて初めて「出来るはずのことができない現実」に直面するのかもしれません。
それは地獄の苦しみです。本当に地獄としか言いようがない絶望です。
半年経過しているのでもしかするとその時期は過ぎているのかもしれません。だといいのですが…一度経験すると2回目からは気づきがあるので気持ちが楽です。対応できます。
でも初めの挑戦ですからね…そのあたりの精神的なもの。「過去の自分だったら出来るはずなのに今の自分には出来ない現実」「そして鬼のようなプレッシャー」が怖いですね。
ほんと、ガックリとこないように周りはフォローしたほうが良いと思います。
自分が高次脳機能障害になって判ったのだけれど、この障害は自分を分析して出来ることとできない事を把握できて、出来ない事をどうカバーしていくかを考えられるようになれば、案外乗り切れたりする性質のものだと思っています。
それでも24時間大ハンデ戦を強いられますからしんどいですけれど。それでも元々の得意な分野などはやっぱり得意だったりします。そこが何とか残っていれば「まだまだ戦える!」になるのだと思います。
円楽さんは短期記憶障害だそうでです。だから昔覚えた落語はそのままできるとのこと。
高次脳記憶障害は受傷時が最悪でそれ以降は改善するのみ。記憶障害が進行することはありません。だから主に心配すべきはメンタルと易疲労になると思います。
「まだまだやれる!」って感情失禁が暴発して抑えが効かなくなるケースも想像できますが、こういうのは時間とともに落ち着いていく人もいます。私がそうですし。
これから色々と大きな壁にぶつかると思います。人生の先輩に対して偉そうな事を言いまくっていますが、高次脳機能障害については私の方が数年の経験があります。何もせずにぼんやりと過ごしてきた数年ではありません。
必至に戦い抜いて生きてきた数年です。それなりに密度は濃いと思ますよ! 井戸の底の世界から這い上がろうと、発狂状態になってのたうち回ってきましたから!!
円楽さんは乗り越えていくのだと思います。凄いですこの人。やっぱりプロです。尋常ではない覚悟があるのだと思いました。本当にすごい!ボキャブラリーがないので凄いしか出てきません。
また以前のような当たり前の毎日が戻ってきますように…。